小説

□記憶2…ある意味最強…
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所々に亀裂が見受けられる内装のパネル。
ダメージは濃そうだわ、とチラリと目を向けただけで分かったブルマは、身体の中の怒りが再燃する――

不審人物はニヤニヤするだけで答えようとはしない…ムッとして眉間の皺を増やしたところで、やっと相手が言葉を発したのだった……


「音声デカ過ぎて耳がいてぇ。下げてくれねぇか?」


――同じ…?
一瞬慌てた。
悟空のようであって、悟空に思えないこの男からかけられた聞きなれた声。

それでもどこか冷静さを欠かさない自身に感嘆としながら、無意識に指を動かしボリュームを戻すブルマ。


「随分いい女を見付けたじゃねぇか、王子!
カカロットの嫁も良いが、俺は出るトコ出てる方が好みだ。」



……は?



モニター越しのブルマと、バーダックに視線を寄越していたベジータの目が点になった。


「んな、同じ面しなくても仲良いのは解ったっての」

クククっと悪戯に笑いベジータに歩み寄るバーダック。
ベジータも一瞬の放心状態から解けてカッと顔を赤らめながら、近づいて来たバーダックに拳を見舞った。

ばしっと受けとめた拳をそのまま引き寄せ、おもむろにベジータの肩を組んだ。

そしてクルリとモニターに背を向ける。


「――っ離せ!この馬鹿ッ!!」
「ククっ。王子、あれが例の頭の上がらない地球人だろ?」
「――なっっ
っそこで話し掛けるな!!バカバーダック!」
「バーダック??何者よそれ!」


引き寄せられ様に耳元で囁くように告げられ、怒りやら焦りやらで無理矢理押し返そうとするベジータ。
尚も肩を揺らしながら笑うバーダックだったが、ブルマの問いにチラリと振り返ると、器用に方眉を吊り上げて言った。


「サイヤ人だ。」


大きな青い目を更に大きくしたブルマが口籠もる…


(…サイヤ人って……孫くんやベジータの同族!?)

背中に嫌な汗が流れるのが分かり眉間に皺が寄る。
デスクの電話を見つめ、悟空を呼んだほうが良いかと考え始めた途端に グッと呻くような低い音が聞こえてブルマは顔を上げた。


「いい加減ひっつくな!ジジィ。」
「ってぇなぁ〜。
ガキの頃はよくひっついて来たくせに何を今更照れる必要があんだよ!!」
「っうるさいぞ!どんだけ昔の事を言いやがる!大体、貴様は昔から――」
「お〜お〜。相変わらず生意気なこった。クククっ」

りきみながら表情を崩すベジータをからかっているバーダックは実に楽しそうだ…
モニターの中の二人をブルマは複雑に思いながら傍観していたが、いつのまにやら戯れ合いのような攻防が激しくなり、怒声が加わりオーラもスパークし…一戦始まりそうな雰囲気がバシバシ伝わってきた。


「っと…とにかく、今そっちに行くから重力室壊さないで待ってなさいよ!?」


聞いているのか定かではなかったが、これ以上ポロポロにされたら堪らない と慌ててラボを後にした。
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