& ターレス

□本気と書いてマジと読む
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「――おい!待て、こっち来んなっっ!!」


扉を開けたら瞬間、意味が分からなかった。

半分飛んじまってる頭で本能で怒鳴った気がする。


(――な、なんつーカッコ)


我ながら情けない。言葉がうまく出てこなかった。


「バダ〜いい加減諦めろって♪」


ニヤリとしながら、ヤツが……そう、ターレスが入ってきたんだ。










玄関のチャイムが鳴ったんだった―――
今日は珍しくのんびりできそうな日だったから、朝から酒かっくらっていた。

ラディが作って置いといたツマミを食い散らかし、ソファでごろりとしていたらいつの間にか眠っていたんだ。

しばらく前にスカウターの着信を知らせる無機質な音が響いてたのは、うっすらと気付いていた。

起きるのも面倒だったし、非番なのは決まっていたので、仕事じゃなけりゃ後回しでもかまわねぇと思っていた。



それからどれくらい経ってたのか……来客を告げる音にすんなりと覚醒した。


(かなり寝たのか――?)


何の確認も躊躇もなく、ドアを開けたんだ。


「よぉ〜!バーダック」


………は?


目に飛び込んで来たのは、黒そうな笑顔のターレスだった。
さっさと人ん家に上がり込もうと足を進めてきたコイツに、思わず叫んでいた。

「―――っこっち来んなっ!!入るなっっ!!」


多分すげー動揺したツラをさらしてんだろう。
ニヤニヤしたターレスは、俺の胸ぐらを掴んで室内へと押し入って来た。


「あ、諦めろってどうゆーことだ!?」


脳ミソがハッキリしてきた俺は、ヤツの手を振りほどき先程の言葉を思い出す。

「これ見りゃわかんだろ?往生際が悪いっての」


チラリとターレスの身体に目線を落として、思わず舌打ちがもれる。


「ここまでお膳立てしてんだぜ?この俺が!
……だぁいじょぶだって。目ぇ瞑ってる間に終わるから――」


やけに顔を近付けて来たかと思えば、耳元で囁くように言いやがった。

一瞬でカッとなった俺は、ヤツを押し退け適度な距離を保とうと、先程まで寝ていたリビングに向かうことにした―――

俺の後を極当然のように着いてきてるヤツに、益々気分を悪くする。
着いてくんなと小声で愚痴れば、喉の奥を鳴らすようにして笑われた。


「照れてんの?バダ?
か〜わいい♪」


尚もククっとバカにしてるように(絶対楽しんでやがる!)肩を揺らし続けるターレスにムカついて、空の酒ビンを投げ付けてやった。

簡単に受け止めやがったのにまた苛つく…


「掃除が面倒になるだけだぜ?」
「フンっ。そんなんラディがやるから関係ねぇんだよ!」
「ひでぇ親――」


先程の動揺を振り払う様にどっかりとソファーに座る。
部屋の入り口で壁に寄り掛かってるターレスを見ようともせず、早く帰れ!と手で追い払った。


「……何?もっとこっち来いよって事?」


ククッとまた意地の悪い笑みをこぼす。


「どんだけ前向きな考え方だよ…てめぇ……」


絶対酒の飲み過ぎが原因ではないと分かる頭痛に、溜め息しながら頭を抱えた。


「だいたい、何で俺なんだよ……
てめぇの周りならいくらでも上等なのがいんだろ!?」
「あんたにしちゃ、随分と殊勝な事言うね。何度も言ってるだろ?
……俺はあんたがいいんだよ。」
「女口説くにゃいい台詞だぁな。」


俺と目線を合わせるように屈んだターレスに、ケッと毒づく……

ローテーブルにのってるツマミやら酒やらのゴミを払い落とし、腰を落ち着けるターレスに、ラディがボヤくぞとツッコミを入れるのを忘れない俺は、親切だと思う。


しっかし――目を細めて見つめるのは勘弁してほしい……

それに……


「……趣味じゃねぇんだよ」
「うわっ傷ついた!何その爆弾発言!!」


オーバーリアクションがうざい。
そんなターレスを睨み付けて受け流す。

フッと一息聞こえた後に続いた言葉に、不様にもまたあんぐりとしてしまった――


「試してみろよ?」


―――?


「ほら、あんたの部屋行こうぜ!」


一瞬ほうけた隙に引っ張られた。


(――ち、ちょっっ!!)


声にならない抗議が空回りしてしまう。ターレスの身体を凝視して、冷や汗なのか何なのか…背中が冷たくなった。


「……本気か?」
「……本気さ。」


俺より少し下にある、黒々とした瞳と視線がぶつかる。それに、とターレスは続いた。


「誰か帰ってきて下手な場面見られていいのか?」


足の止まった俺の肩をグイっと抱きながら、脅しのように耳元に吐息を漏らす。


「――っ紛らわしい言い方すんな!耳ばかり狙いやがって!」
「顔赤いぜバダ?感じちゃった?」
「ばっ―― こ、この歩く色情魔がっ!!」


クスクス聞こえる笑い声が余計に羞恥心を誘う。


(――こうなりゃヤケだっ!)


ターレスの腕を、もぎ取ってやるくらいの勢いで引き寄せてやった――――




そして……










――☆後書き☆――
諸事情により、ここでページを切らせて頂きます(^o^;(いや、別に大したことではないんですが…)

次のssに続きますm(__)m

少々お手間を取らせますことお許し下さいませませ
(/_\;)

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