& ターレス
□EYE
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超サイヤ人――
千年に一度現われるか、と言われている伝説のサイヤ人の戦士。
その実態を知る者は無く、どのような出立ちなのか…どのような力を持っているのか…全くもって未知の存在だった。
大猿に変身するだけでもパワーアップできる彼らの中には、それで満足する者もいる。
超サイヤ人自体がただのおとぎ話や迷信の類ではないのか、と笑い飛ばすのだ。
『超サイヤ人――
純粋な心と強い怒り――
そして下級戦士――
まもなく生まれる――』
王宮に使えている他星の占い能力者が見えた未来と言うものを王に伝えた。
瞬く間に惑星中に噂は広がる。
彼の能力者の的中率は高い。生まれると言う表現のため、調査対象となったのは赤子だった。
しかし生まれたばかりの赤子の中に特記して変わったものは居らす、戦闘力も低い。これから生まれる子供にまで捜索を延ばそうと議会で決定した――まさにその時、宇宙船発着場管制室から緊急の通信が入った。
『――怪しい男が帰還しました!到着を知らせる信号はバーダックと言う下級戦士なのですが、様子がおかしいのです!!』
丸型ポットの発着場にはこれから遠征に向かう者と、帰還した者とが集い賑やいでいる。
ここに珍しく迎えの為に訪れた男が一人。
ガラス張りの待合室から見える飛び立つポットや勢いよく着陸するポットを眺め、焦る気持ちを懸命に沈めようとしていた。
待ち人からの不振な通信があったのは数時間前。
『……とにかく…来い!』
普段決して出迎えなど頼まないあの男が、何故今日に限ってわざわざその様な通信を寄越したのか…
ターレスには嫌な想像しか浮かばなかった――
心なしか切れた息遣い…いつもより低い苦しげな声…
(死にかけ――なのか?
……バーダック………)
ガラスが曇るほど至近距離で触れ息を一つ吐く。
管制員がバタバタと慌ただしく走っているのを目ざとく見付け、何があったのかと胸ぐらを掴み上げ凄んだ。
「着陸信号出してる奴の機内がおかしいから王宮に連絡したりしなきゃならないんだ!離せ!!」
「…その信号出してる奴の名は?」
「バーダックだっ!!」
スッと緩んだ隙に管制員は転がるように抜け出し、再び走りだしていった。
しかしターレスの目にはもう発着場しか映らない。
(何があったって言うんだ?)
ただ事ではなさそうな雰囲気にバーダックの死ではなく、彼に異変が起こったのだと理解する。
「…バーダック――」
再び今度は声に出して名を男を呼んだ。
ドォーン――
着陸独特の衝撃にハッと顔を上げ、ターレスはその場から駆け出していた――
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