& ターレス

□ANIMAL KINGDOM
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惑星ベジータパラレル。
果たしてテーマパークなんてあるのか疑問ですが…








「……おもしれぇか?」
「……ん〜まぁまぁ。」
「………」
「………」

互いに顔を合わせることもない。バーダックは端にあるベンチにだるそうに座り、ターレスはその場にしゃがみこみヒザにヒジを乗せて頬杖つきながら…目の前の三羽のウサギにキャベツの葉を与えていた。


(何だってこんなトコでボーッと小動物に餌くれてやってなきゃなんねぇんだよ…)

いい加減にイライラしてきたバーダックは、眉間の皺をこれでもかと言うほど濃くして盛大な舌打ちをした。

(こうなったのも全てバカロットのせいだ―――)











「オラみんなで動物園に行きたいぞ!」


『―――は??』


そこにいたのは全部で四人。言い出しっぺのカカロット・兄ラディッツ・父バーダック…そしてたまたま荷物を届けに来たターレス……

夕食後、ラディッツが出してくれたコーヒーを飲み、リビングでそれぞれの場所に座りながらくつろいでいる時だった。やっほー とターレスが訪ねて来て持ってきた袋を、にこやかにバーダックに突き出す。
それを嫌そ〜うな目で睨み付け、持っていけと言わんが如く顎で扉を差した。

そんな時に突然カカロットが叫んだのだ。
次男はそれぞれの顔をグルっと見渡し、満面の笑みを向ける。


「いきなりどうしたってんだよカカロット?」


兄ラディッツが熱を測るように額に触れながら問う。ターレスとバーダックも思わず顔を見合わせた。


「へへへ…この前学校で友達が言ってたんだ!家族で動物園行って楽しかったんだって♪」


鼻息荒く言う息子に、父は溜め息する。持ってきた荷物をとりあえずバーダックの自室に置いてきたターレスも、楽しそうにでかい声で話すカカロットに吹き出してしまった。


「影響されて行きたくなったんだ?でも俺は家族じゃないぞ?」


なぁ、と確認する様にニヤリとしながらバーダックに振り返ると、外方向いて鼻を鳴らすだけだった。


「でもターレスとは家族みたいに一緒にいるの多いじゃん!オラも大好きだし、兄ちゃんだってターレスいると助かるって言ってたもん!!」


拳を握り締めて力説するカカロットに大好きと言われ、悪い気はしないターレス。その影でラディッツは苦笑いだ。


(…ターレスいると助かるってのは多分カカロットが思ってるような事じゃないんだけどなぁ……)


頬をポリっと気まずそうに掻きながら思いをめぐらせ、少し顔が熱くなってしまった。
息子に何ていう想像をさせるのか、とチラリと父を盗み見たラディッツ。
直ぐに冷めた目を向けられていたと気付き冷や汗が背を伝った……
慌てて立ち上がり、おかわり入れてくる と急いでその場から消えた。


「ククっ連れてってやれば?バダ。今日・明日と連休だろ?」

喉を鳴らすターレスを睨み付け、一瞬口を開きかけたバーダックだったが言葉を出さず小さく舌打ちをした。


「カカロット、明日連れてってくれるってさ!」


パッと明るくなった表情と喜びの歓声があがり、抗議したくても今更な気がして仕方ないかと諦めたバーダック。
それでも何かターレスの笑いが気に入らなかったので、コーヒーのおかわりを人数分持ってきたラディッツに拳骨をお見舞いしたのだった。



翌日、よく晴れた絶好の行楽日和!バーダック一家三人はそろって家を出発――のはずだったのだが、出がけにカカロットが長トイレを言いだし、出鼻を挫かれる。
「ターレスを待たせたら悪いから父ちゃん先に行っててくれ!」
と言う次男の気遣いを、何で俺が と言い返すがラディッツに
「じゃあカカロット迷子にさせずに時間通りに行けるのかよ?」
とイタイ所を付かれてしぶしぶ了解し、親父が1人で動物園に向かうことになってしまったのだった。



「あれ?子供たちおいてけぼり??」
「ちげぇよ!カカロットが便所に時間くうから俺だけ先行けってうるせんだよ!!」
「ククク…野郎二人で動物園デートね……中々いい趣向じゃん?」
「アホか!!」


入場ゲート前で瓜二つの男が戯れてるのに、人目を引かないはずがなく――

そんなお構いなしに漫才のような掛け合いをしている実父とそのツレをすぐに見つけたラディッツは、声をかけるか否か戸惑っていた……
そんな時手を繋いでいた弟が自分を小さく呼んでいるのに気付き、視線を落とす。

「このまま父ちゃん達とは別に行かない??」


あの二人と合流するのが恥ずかしいのかと、ラディッツが苦笑いしながら尋ねるとそうではないと言う。

「二人でゆっくり話して欲しいんだ。」


弟の真意が分からず、首を傾げる。

「父ちゃんとターレス、喧嘩してるから……」


俯きながら淋しそうに呟いたカカロットに、ラディッツは思わず 「へ!?」 と、すっとんきょうな声を出してしまったのだった。
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