& ターレス

□FULL MOON
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惑星ベジータパラレル
直接的な性描写はありませんが、連想させるような表現がありますので、苦手な方はお戻り下さい。







惑星ベジータでは八年に一度満月がのぼる。
この時ばかりは、大猿になると理性を保てない下級戦士達の外出が無くなる。皆自分の住居を潰したくはないし、ヘタをしたら上級戦士に殺されてしまうからだ。カーテンを閉めきり、かろうじて月光が射し込むくらいの室内でその日をやり過ごす…それがこの日の暗黙のルール。

人気のなくなった居住区外の施設で、エリートたちがのんびりと羽を伸ばす。普段はごったがえす広いトレーニングルームも今夜は数えるほどしかいない。それぞれに好きなマシンを使い鍛練しつつ酒盛りを始めていた。


「下級戦士達は情けないな。たかが満月に逃げ隠れするとは。」
「仕方がないさ。所詮落ちこぼれ共だ。」
「今頃不安でガタガタ震えてるんだろうぜ!はははっ!!」
「まったくもって使えない奴らだ。」
「満月と言うのはこんなに力が漲る時なのに、なぁ?」


ズオッとオーラが沸き上がり、一人が手の平に力を込めて気弾を発生させた。それに続けて数人も同様に頭上に光を生み出す。
はぁ! と言う掛け声と共に町の夜空にいくつかの気弾を打ち上げた。それはやがて一つにまとまり、轟く音を立て花火のように弾け飛び散っていった。

彼らはそれを満足気に見上げて、更にアルコールを増やし豪快に笑った。





ドォーーン!!



下級戦士の居住区にもその音は響き渡ってきていた。

きっちりカーテンを閉めているため様子を窺い知ることは出来ないが、大方の予想がついているバーダックはフンッと荒く鼻を鳴らした。

「はっ。エリート様方がバカやってやがるぜ!」


心底呆れた物言いで、腰掛けていたベッドから起き上がろうとしたが、縋りついてきた腕にそれを阻止されてしまった。


「離せ。」


ギロリと睨み付けて低く言ったが、相手は口角を上げるのみ。


「鬱陶しいぞ。てめぇ…」

気だるそうに腰に回されたその腕を叩いて退けようとしたが、逆に自身の腕を掴み取られ再びベットに転がされてしまった。
そのまま組み敷かれ、両手の自由を奪われるバーダック。


「どけ。俺は水飲みてぇんだよ…」
「…ダメ。」


はぁ…とため息しながら、自身と瓜二つの浅黒い顔を睨み上げた。
相手の――ターレスの顔がゆっくりとバーダックに近づいてくる。


「…いい加減にしやがれ。発情男。」


鼻先が触れ合いそうになった時うんざりした声をもらした。


「…別に力入れてないんだ。逃げたきゃ逃げれるだろ?」


目を細め不適な笑みを見せるターレスは、そのままちゅっと軽い音を立てて唇を盗んだ。
『逃げる』のフレーズにかちんときたバーダックだったが、それを迷惑そうな顔を向けるのみで訴えた。それに気付いたターレスは喉を鳴らしながら耳から首筋に唇を滑らしていく。


「――っ」

先程までの行為のままだったので、簡単に白い素肌に熱い指先が這う。

(――俺が発情してるわけじゃない。アンタのその素直じゃない表情が誘ってるんだ…)


言葉には出さずこれから再び溺れる情事に、高ぶる熱や思いを委ねていく……









気が付いたのは、既に夜も明けて日の光を眩しく感じてからだった。

(……いつの間に気をやったのか覚えてねぇ。
あんにゃろ無茶苦茶しやがって――)


突っ伏していた頭に片手を乗せて軽くふる。ぎゅっと目を瞑り眉間の皺を濃くした。
バーダックの眠っていたキングサイズのベッドには、他に温もりを感じる部分はない。相手が抜け出してからかなりの時間が経過しているのを物語っていた。

掛けられていたシーツを払いのけ身を起そうと腕に力を込めた。しかし、上半身を持ち上げようとして腰が悲鳴をあげ崩れてしまう。


(っつぅ……あの馬鹿野郎!!)


鈍い痛みに思わず顔を歪ませ舌打ちした。
そして昨夜の記憶を探る。確か夕飯もそこそこに、満月に煽られてベッドに傾れ込んだ。それから離そうとしないターレスに散々な目にあわされたのだ……


(――当の本人はヤリ逃げかよ!)


自由にならない身体が余計に苛立ちを増幅させる。
カーテンが開け放たれているので、月が沈むまでは存在していたようだと理解する。

(別に居てほしいわけでもねぇが…)


自身の思いに何となく気恥ずかしくなり、誰も問うていないのに言い訳を繋げた。

…その時静かに寝室の扉が開く音背中に聞こえ、バーダックの身体がピクリと跳ねた。


「…バダ……まだ寝てる?」


普段中々聞くこともないような甘ったるい声で呼ばれ、鼓動が速くなりながらも何故か返事をしないバーダック。
ふいに、サラッと髪をすかれた。


「……ほんと、素直じゃないよなアンタは。」


「――てめぇにゃ負けるさ。」


指に絡ませていた髪をこぼしながら呟けば、思った通りに目覚めていたバーダックの不機嫌な声が返ってきて、ターレスは低く笑った。


「淋しかった?」
「アホか。」


目を合わすと見透かされそうだったので逸らした顔をそのままに速答で返した。

クククっと喉を鳴らしながら、ほら と投げて寄越されたペットボトルを突っ伏したまま片手でキャッチする器用なバーダック。
それをしげしげと眺めてから、キシむ身体を気合いで起した。


「――随分サービス良いじゃねぇか。毒入りか?」
「酷い言いようだな…残念だがまだ殺す気はないさ。ただの水。今日は特別ついでに飯も作ってある。」
「明日は嵐だな。」

あきれながらもニヤリとしたターレスに、冷ややかな目を向けるバーダック。


(大猿になっても平気なアンタが、昨夜一晩俺に付き合ったんだ。自惚れて上機嫌になったって……いいだろ?)


全てを語りはしない。
ターレスも――
バーダックも――



そして次の日は――


見事な嵐だった……







――☆後書き☆――

当サイトの77HITを踏んで下さったY様にリクエストをいただきました!!
『タレバダ甘いお話で』とのことでした…ので、こんな駄文ですが贈らせていただきます(汗)


申し訳ありません!
甘いのか?これ!!と自分でつっこみながら仕上げてしまいました(滝汗)
朝チュンだし……イメージと違ってたら平謝りです……

裏部屋を解禁したら詳細な一夜(笑)を書きたいと思います!


Y様ありがとうございました!

最後までお付き合いいただきありがとうございます
m(__)m

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