刹那の花吹雪

□迷わない
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「こんなに沢山の魚どうしたの?」
「実はねこれ、長宗我部君が、持ってきてくれたんだよ!」
「長宗我部様が?」
「うん。この前の鍋のお礼にって」
「……でもなんで私を呼んだの?何時もなら自分で勝手に料理して食べてるのに。」
「実はね、滅多に食べられない魚が手に入ったって長宗我部君が持ってきてくれたから、美月と食べたくて。」
「……よく迷わなかったね。」
「え?」
鍋の具材を漁っていた秀秋の手が止まる。
「だって、いつもそうでしょ?秀秋は優柔不断でいつもいつも迷ってる。」
「……確かにそうだね。」
「だから、美味しいお魚が手に入ったら何にしようか迷うかと思った。迷わなくても我慢できずに一人で食べちゃうかと思った。」
「……確かに。確かに僕は優柔不断だけど、君のことでは迷わないよ!」
「……。」
「君とは好きなものを共有したい。何より君の美味しいって笑顔がみたいから。」
「……。」
秀秋の言葉に思わず美月は赤面する。
「……一緒に作ろう。美味しい鍋を作って僕とまぐまぐしよう。」
「そうだね。」
そこには穏やかな時間が流れ、鍋のグツグツと煮える音が響いていた。
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