刹那の花吹雪

□迷わない
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私の恋人は小早川秀秋という。
どんな人か聞かれると、皆口を揃えて「気が弱く、優柔不断」と言うくらいだ。
武将としては頼りない。
戦場に立つときも、いつも鍋を背負い、天海様の後ろに隠れるといった具合だ。

そんな情けない人となぜ付き合っているのか、まわりはいつも不思議そうに首をかしげる。
ただ、それは秀秋の本質を知らないから言っているのだ。
私は彼の事を一等分かっているつもりだ。
優柔不断だけど、誰よりも優しい。そんな優しさに私は惹かれたのである。


「おーい!美月!」
「秀秋?」

秀秋はいつものように鍋を背負ってかけてくる。
「転ばないでよ!そんなに勢いよく走って……」
「えへへ。転ばないよ。」
「そう?で、私に何か用?」
「あ!そうなんだ!」
そう言うと秀秋は私の手をとる。
「美月を呼びに来たんだよ!早く早く!」

嬉しそうに手を引く姿に思わず笑みが溢れる。
連れてこられたのは厨房でそこには様々な魚がならべられていた。
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