刹那の花吹雪
□月下の契り
3ページ/11ページ
女は暫く目を泳がせ、やがて何かを決意したように顔をあげた
「戦に行く前に一晩でいいのです時間をくれませんか?」
「何故?」
「戦に行けば再び会えるのは何時になるか、分かりませんし、最後に貴方の全てを私の記憶に焼き付けたいのです。」
女は振るえる声を隠し気丈に振る舞おうとする
「・・・・・・・承知した。戦に行く前に満月の夜がある。月見でもするか?」
「それでは次の満月の日に」
そう言うと斎藤は踵を返し人混みへと消えて行く
その後ろ姿を美月は寂しそうに見つめ、暫くして団子屋へと消えていった