刹那の花吹雪
□月下の契り
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「一さん・・・・」
控え目な声が団子屋から聞こえてくると、黒に身を包んだ長身の男がゆっくりと振り返る
「・・・・・如月か」
男は静かな声色で返す
白い襟巻きに黒い着物、この男こそが新選組、三番組組長斎藤一である
そして控え目に声をかけ如月と呼ばれた女は斎藤の恋仲である如月美月だ。
しかし恋仲となり、もうすぐ三年が過ぎようというのに口づけはおろか、手すらも繋いだ事もない。
「何か用か?」
斎藤が問うと
「新選組の局長さんが狙撃されたと聞いて・・・・・・大丈夫なのですか?」
「あぁ・・・・」
少し考えるように口を閉ざし、ゆっくりと口を開く
「近く戦になるやもしれぬ」
その言葉に女は眼を見開き息を詰める
「あの・・・・・」
何事かを話そうと口を開こうとするもすぐに口を閉ざし俯く
「どうした」
気付くと目の前に来ていた斎藤が先を促す