花霞
□忍の運命
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「待て、以上じゃねーよ」
土方が思わず止める
「?簡潔に分かりやすく話したじゃねえか」
美月は眉をひそめて反論する
「確かに分かりやすいことこの上ねえが、内容に問題あんだよ」
土方が更に反論する
「確かに、死んだなんて何で分かるのさ」
沖田も不思議そうに尋ねる
「んなもん簡単だ。私が死んだら発動するように仕掛けた忍術が発動してたからだ」
「忍術ぅぅ!?!?!?」
藤堂が驚いた声を上げる
「そうだ。忍はその遺体にもありとあらゆる情報が詰まっている。故に忍は遺体すら残さねえ。忍は人知れず在り人知れず消えていく。だから霞のような曖昧な存在だ。風が一吹きすりゃあ消えちまう。散らばそこまで、その命ってとこか?」
「じゃあどんな術をかけたんだ?遺体を残さないなら燃えるのか?」
左之が眉をひそめて問い掛ける
「いや、花になる」
「花?」
左之が不思議そうに呟く
「正確には、桜の花びらになって散っていく術だ」
美月は淡々と答える
「何で桜の花びら何だよ?燃やしゃあ良いじゃねえか」
土方も問い掛ける
「私達忍は、後には何も残らねえ。どこで死のうと遺体も残らなけりゃ、痕跡も残さねえ、だからせめて最期だけでも美しく咲き誇る桜となって華々しく散りたかったのさ。まあ結局は存在すら掴めねえ霞のままだったがな」
新選組と千鶴は思わず黙り込み美月の話しを聴き続けた。
「・・・・・花霞」
土方がぽつりと呟く