紫草の野

□秘め事
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もやもやしたものを振り払うように、海へ向かう。
海へ入りザブンと潜る。
海の中に潜るとまるで自分一人しか世界にいないような気持ちになる。
深く深く潜って、このもやもやを振り払おうと仰向けになる。
一面に広がる青と上から差す光が海中を照らす。

「(長いこと隣にいたから、あまり、色目で見れないのだろうか。」
ふと、そんな思いが頭をよぎる。
もっと余裕を持たなくては。
気持ちを切り替えて、上を目指す。
ざぶざぶと海から上がり、風呂を目指す。
「あ!兄貴風呂ですか?」
網問がぱたぱたと寄ってくる。
「あぁ。一緒にはいるか?」
「はい!すぐに支度してきます!」
そういうと嬉しそうにかけていく。

「……なんだ。」
風呂に入って寛いでいると、網問の視線を感じる。
「兄貴ってやっぱり筋肉有りますよね。」
「なんだ突然。」
「いや、服の上からだと分かりにくいですが、やっぱり凄いなあって。」
「そうか。」
網問の言葉に自分の体を見下ろす。
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