紫草の野
□海賊ごっこ
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そして、偶々通りかかった水練の二人と、面白そうだと便乗してきた義丸。
さらにどうせならと休んでいた蜉蝣や由良四郎・疾風も呼び宴を開くことにした。
舳「宴といっても何かやるのか?」
「海賊で宴っていったら歌しかないですよ!」
楽しそうに航は言う。
「じゃあ誰が歌うんだ?」
「それは…」
周りを見渡しある一点を見て答える。
「義丸の兄貴に歌って欲しいです!兄貴お願いします!」
「俺か?」
少し驚いたような義丸にハイティーン組は笑顔で頷く。
網「それでは義丸の兄貴に歌っていただきましょう!お願いします!」
義丸は少し考える仕草をして、口を開く。
義丸「波間から 光り輝く 銛と汗」
「…?」
「それはお前歌は歌でも短歌だろ。」
ポカンとする一同に直ぐに我にかえった蜉蝣が突っ込む。
「我ながら良くできてると思うんですけどね?どうせなら鬼さんも歌って見れば?…鬼さん?」
先ほどから黙っている鬼蜘蛛丸を不思議そうに振り向く。
鬼蜘蛛丸はやや青ざめた顔で口を開く。
「陸酔いで はやく海へと 帰りたい」
「…悪かった。休んでてくれ。」
義丸は海水入りの湯飲みを手渡す。
「どっちも短歌じゃねぇか。」
網「そうですよ。歌っていっても短歌は駄目です!じゃあ次は…舳丸の兄貴お願いします!」