匂へども番外編

□2月14日は何の日?
2ページ/6ページ

これは忍術学園に美月が馴染んだ頃の冬のお話。
「今日は確かバレンタインデーか。」
美月の言葉に周りにいた五年生たちは不思議そうな顔をする。
「ばれんたいんでい?なにそれ?」
面白そうな匂いを嗅ぎ付けたのか楽しそうに尾浜が食いつく。
食堂で一休みしていた美月のもとに偶々通りかかった三郎と雷蔵が加わり、豆腐を作りに来た兵助が更に加わったところで、尾浜と竹谷が入ってきてちょっとしたお茶会になっていた。
ふと呟いた美月の言葉に他の四人も興味を示す。
「あぁ今日は確か2月の14日だろう?木の葉の里では毎年2月14日に女から好きな人へチョコレートを送ったり、お菓子を送る日なんだ。毎年イタチが沢山の女達から隠れているのを見てたから特に印象に残ってんだ。」
「ちょこれいと・・・・。そういえば去年そういうイベントあったよね。」
「此方にもあるのか?バレンタインデー。」
「少し違うがな。去年は確か学園長が面白そうだからと南蛮のイベントに乗っかってやったんだ。」
雷蔵と三郎の言葉に豆腐を食べていた兵助が思い出しながら話し出す。
「去年は確か矢にちょこれいとを付けて好きな相手を射れば、射られた相手は何でも一つだけ言うことを聞くって言うのをやってたのだ。」
「それはもう別のイベントだな。むしろ危ないな。」
「三郎何か色んな人に追い回されてたよな。」
竹谷が苦笑いをしながら答える。
「今年はもう少し安全なイベントだといいな。」
美月は顔をひきつらせると少し考えた顔をする。
「そういえば、この日はバレンタインデーの他にも何かあった気がするのだが。」
その言葉に周りの四人は考え込む。
ただ一人三郎だけは俯いている。
「三郎?」
雷蔵は心配そうに覗き込む。
「ふふふふ。ふははははは。」
三郎の突然の笑い声に美月と他の四人は驚いた顔をするが、三郎はお構いなしに続ける。
「2月の14日は褌の日でもあるんだ。この日は私の独断場だ!」
その言葉とともに装束を脱ぎ捨て、褌一丁になる。
「そうだったな。確か語呂合わせで、褌の日だ。」
美月は思い出したように言葉を続けた。
「三郎・・・・。」
雷蔵は呆れたように服を拾い上げる。
「速く服を着ようね。」
雷蔵は黒い笑みを浮かべながら近づいていく。
「わ、分かった。雷蔵!着る、着るから!わあぁぁぁぁ」



少々お待ちください



しばらくそれを眺めていた美月達は三郎を見なかったことにして、続ける。
「でも、褌の日ってなにやるんだ?」
竹谷は三郎を気にしつつも周りに尋ねる。
「さあな。自分だけの褌を作るとかそんなんじゃない?」
美月は少し考えた後に答える。
「人に褌を送るとか?」
尾浜もそれに続くように答える。
「そんなもん誰が喜ぶんだ。送る方もあれだが送られた方も困るだろう。」
美月が呆れたようにつっこむ。
「何を言ってるんだ。褌が似合う人選手権を開くんだろう!」
いつの間にか復活していた三郎が答える。
「そんなもん誰が参加するんだよ。」
竹谷が呆れたようにつっこむ。
「やっぱり2月14日はバレンタインデーがいいな。」
尾浜が畳み掛けるように言う。
その時に、ボフンという音とともに煙が立ち込める。
「げほげほげほ。」
『学園長』
6人の声が揃うと、段々と煙が晴れていく。
「面白そうな話をしておるのう。」
「面白そうな話?」
「な、何か嫌な予感が。」
何人かは顔をひきつらせる。
「思い付いた!これから褌の選手権を行う!」
「はああぁぁぁ!?」
驚く五人をよそに学園長は楽しそうに話す。
「さっそく今から始めるのじゃ!!」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ