匂へどもしる人もなき桜花

□学園探索2
2ページ/5ページ

IN食堂

「ここが食堂です。」
尾浜の言葉に美月は中へと入っていく。
そこには一人のおばちゃんがいた。
「食堂のおばちゃん。」
その言葉に気づいたおばちゃんは此方によってくる。
「あら、鉢屋くんに尾浜君じゃない。どうしたんだい。」
その言葉に尾浜が答える。
「天女様に学園内をご案内してたんです。」
「はじめまして。本日からお世話になります。如月美月といいます。明日からお手伝いをすることになりました。」
「そ、そう。天女様よろしくお願いしますね。」
おばちゃんは俯きかげんに答える。
「分からないことだらけですが、できる限りお手伝いをするので、何かあったら遠慮なく言ってください。」
その言葉におばちゃんは少し顔をあげる。
「他にも行くところがあるので失礼します。」
そう言うと食堂を出ていった。
その後ろ姿を戸惑うように見て立ち尽くしていた。
「次は事務室に行くか。」
その言葉に三郎が先に歩きながら答える。
「それならば、こっちだな。」
三人で黙々と歩いていく。
「・・・・。あ〜!何でそんなに静かなんだ!何か話すこととかあんだろ!何か!」
沈黙に耐えられなくなった美月は我慢できないと言う風に頭をかき毟る。
「何かですか?それじゃあご趣味は?」
「見合いか!?・・・・趣味は筋トレだ。」
「答えるのか!?」
尾浜と美月のやり取りに思わず三郎がつっこむ。
「ぷっあはははは!」
その一連の流れに耐えられなくなったのか尾浜が吹き出して笑う。
「静かなのは性にあわん。」
美月は少しふて腐れたように答える。
「天女様随分面白いね。益々気に入っちゃった。」
にんまりと笑う尾浜に三郎が訝しげに見る。
「それは何より。」
美月は一瞬目を見開くが直ぐに不敵に微笑む。
「目の奥は笑っていない。何より狂喜じみたなにかすら感じる。」
美月は心の中で呟くと周りを少し観察する。
一見すると美月を歓迎しているようだが、其処には何か冷たい拒絶のような空気が流れていた。
「もう着いちゃった。天女様といるとあっという間だね。」
尾浜の言葉に顔をあげると、其処には事務室と書かれた看板があった。
「失礼します。」
その言葉とともに扉を開くと、中には一人の青年がいた。
「あれ?尾浜君どうしたの?」
雰囲気はぽやぽやしていて優しそうだった。
「小松田さん。天女様を案内してたんですよ。」
三郎の言葉に少し驚いた顔をする。
「はじめまして。如月美月といいます。明日から事務の手伝いなどをします。」
「そうなんだ。よろしくね。僕は小松田秀作って言うんだ。何か困ったことがあったら何でも言ってね。」
「ありがとうございます。それにしても、随分と若い事務員さんですね。」
「そうかな?」
どこか和やかなムードが流れる。
「そ、そうだ!天女様他のところも見るんですよね?次に行きましょう。」
尾浜がその空間を壊すように言う。
「そうだったな。次はどこに行くんだ?」
「後は医務室と図書室だな。」
三郎の言葉に美月小松田に別れを告げて出ていく。
「先ずは医務室に行くか、それで最後は図書室だな。」
その言葉に三人は歩き出す。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ