匂へどもしる人もなき桜花

□序章
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第四次忍界対戦が終わり、世界は平和になった。いがみ合っていた国々も、少しずつではあるが、歩みよりを見せていた。
国々は戦争で壊れた国の建て直しに目処が立ち穏やかな日々が続いていた。



戦争の後始末が落ち着き、久々の休暇にくつろいていた美月のもとに伝書鳥が呼び出しを告げた。
「何だ?任務か?」美月はそれを見て不思議そうに首をかしげると、素早く支度をして、家を飛び出した。


in火影邸

綱手は、腕をくみ顔を険しくさせていた。その周りには里の重役達も一様に揃っていた。

コンコン

静かな空間にノックの音が響く

「入れ」
その綱手の言葉に扉が静かに開く

「お呼びでしょうか。綱手様」
美月は膝をつき用件を伺う

「あぁ…」綱手は、煮え切らない言葉を漏らし沈黙が続く。
暫くして里の重役が重い口を開いた。
「如月美月お前に任務がある。どうやら木の葉の里から南西に行ったところに、抜け忍が潜んでいるらしい。その討伐を引き受けて貰いたい。ただその抜け忍の情報が少なく、危険な任務になる。場合によっては、死の危険もある。」
その重役の言葉に重い空気が漂う。
バンッ
「私は反対だ!大体この任務自体がおかしい。これでは美月に死にに行けというようなものではないか!」
綱手は声を荒げて反対する。
「死にに行けというようなものではない。死んでこいと言っているのだ」
重役が静かに声を重ねる。
「なっ…」
あまりの言葉に綱手は声を失う。
「なぜその任務を私に?」
美月は眉をひそめ重役達を見渡した。
「お前は強くなりすぎた、本来ならば知らなくていい里の闇も知っている。戦争が終わった時点でお前の役目も終わっているようなもの。何より、他の里の重役達がお前が危険だから何とかしてほしいとの声が出ている」
重役は静かに淡々と言葉を紡ぎ出す。
「だからその事は美月に関しては大丈夫だと何度も言っている!」
綱手は声を荒げながら噛みつくように反論する。
「なぜ危険だと」
美月は不思議そうに尋ねる。
「今までの任務で他里から恨みを買っていること、それからうちはイタチとの関係性を踏まえてだ。せっかく平和になったのだ、危険な芽は早めに摘んでおきたいのだろう。」
「ふざけるな!美月は今までずっと「分かりました。その任務お引き受け致します。」美月!」
何かを悟ったのか美月は静かな口調で綱手の言葉を遮った。
「本来ならば、子を沢山産んで有望な忍を育てて欲しいのだが…」
重役達は何か含みを持たせながら話す。
「それは断固拒否すると話したであろう。本人もそれについては断った筈だが」
綱手は吐き捨てるように話をきる。そして美月に向き合い悲しそうに引き留める。
「木の葉にとっても何より、ナルトにとってもお前は大事な家族だ。このような任務を引き受ける必要など「いいえ。綱手様ありがとうございます。この任務を断れば他の里との関係が悪化するかもしれません。私は自分の意思で、この任務を引き受けます。」…しかし、分かった。力になれずすまない。」
綱手は美月の目を見て決意が固いことを悟った。
「詳しい任務の内容はこの書類にある。それから、
この書類は「全て目を通したら燃やします。分かってます。ありがとうございます。」…そうか」

静かに淡々と美月は続けると、一礼して周りを見渡す。
「帰ってすぐに支度をします。今までありがとうございました。」
そういうと礼をして素早く出ていった。
「美月すまない」
後には綱手の謝罪と、重苦しい雰囲気が漂っていた。
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