花霞

□男前と堅物
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「・・・・・・・・・・暇だ。やる事ねえ」
美月の苛立たしげな声が響く
「に、兄さん・・・」
千鶴は困ったように声をかける

あれから新選組で保護される事になった二人は部屋に男装のまま軟禁状態である。


土方曰く、「新選組は女人禁制だ、だから男装しろ。ばれないように部屋から出るな」らしい


「何で俺がじっとしてなきゃなんねーんだよ。体が鈍るだろうが」
仰向けに寝転び大の字になりながら苛立たしげに続ける
「余りはしたない格好をするな」
斎藤が余りの格好に目を反らしながら窘める

「何だあ斎藤、女に免疫ねえのか?」
ニヤリと妖しく笑いながら斎藤に近付く
「・・・・・・。」
妖しい笑いに無言で後退る
「ああそうだ上で張ってる、下手くそ忍もどき降りてこいよ」
思い出したように上に向かい声をかけるが、依然と斎藤へと間を詰めていく


「!」
カタッ

僅かな音が鳴ると、音も無く一人の男がひらりと舞い降りた

「!!!」
千鶴は驚き目を白黒させている


「なっ」
斎藤も余りの驚きに思わず固まった
その隙を逃さず美月は斎藤を捕まえる
ニヤリと再び妖しく笑い斎藤を押し倒す


「!?!?!?!?」
突然の事に斎藤も千鶴も男も固まる
すぐに立ち直った男は慌てて美月を引きはがす


「貴女は何をやっているのですか!?!?」

「何ってちょっと押し倒しただけだろうが」

「貴女は女性ですよね?女性が男性を押し倒すなんて聞いたことありませんよ!」

男は美月に詰め寄り窘める


「・・・・・・・。」
斎藤と千鶴は驚きの余り固まっている
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