紫草の野

□夏祭り
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「今日町で夏祭りがあるんですよ!舳丸の兄貴が一緒にいってくれるんです!」
朝からそわそわしている重を見かけて、何かあるのかと尋ねると、嬉しそうに返ってきた。
そういえば、兄貴たちも今日は仕事を早く終わらせて呑みにいくんだと話してたか。
そうぼんやりと、考えているといつのまにか重の他にハイティーン達が揃っていた。
「鬼蜘蛛丸の兄貴!」
「どうした?」
「浴衣出してください!」
「浴衣?」
「はい!せっかく祭りに行くので、浴衣を着ようと思いまして。」
「ちょっと待っていろ。」
その声に箪笥をあさる。
浴衣をいくつか持っていくと、嬉しそうに各々選んでいく。
「網問!舳丸の兄貴と出掛けるんだけど、どの浴衣がいいかな?」
重の声に目をやると浴衣をあてながら、網問に聞いている姿が目に飛び込んでくる。

義丸はどの浴衣を着れば喜ぶだろう。

ふと浮かんだ考えにふるふると首をふる。
義丸の事だ祭りに行ったとしても女といく可能性がある。
第一男の俺が着飾ったところで、義丸が喜ぶとは考えにくい。

ハイティーン達がめいめいに選んだ浴衣の残りを片付けていると、ふと一着の浴衣が目につく。
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