紫草の野
□臆病
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私の恋仲は女癖が悪い。恋仲になる前から兄貴の女癖には辟易していた。
私には手を繋ぐことまでしかしないのに、気がつくとふらりと消えていて、女の香を纏って返ってくる。
私はそんなに魅力がないのでしょうか……
水軍館
「おーい!舳丸!」
「なんですか?鬼蜘蛛丸の兄貴。」
「義丸見なかったか?」
「いえ、見ていません。」
「あ、義丸の兄貴なら町に出掛けましたよ。夕飯要らないって言っていました。」
「重。」
「そうか。ありがとう重。」
重の一言に兄貴は戻っていく。
重も私をみて、一礼して去っていく。
「(また……か)」
また女のところにいっているのか。