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□りょうく
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トレカの話
なんでだ、なんでだなんでだなんでだなんでだなんでだ。
仕事の出張で2日家を不在にしていただけだ。冷蔵庫の中身がほとんどなくなっている。
もしかして泥棒?
金目のものは一切取られていないわ。なんでだ?なんでだ。
「ねぇあべ、
どうしたの?」
『どうしたもこうしたも…』
そういえば何故か家が綺麗だ。ほこり一つもない。洗濯物もベッドに放り投げてあったのにクローゼットの中にきちんと畳んである。
新種の空き巣?
久しぶりに会ったリョウクはソファーに横になってうろちょろしている私を眺めている。
「ねぇあべ〜」
『なーに』
「部屋キレイでしょ」
『うん、
あ、リョウク、か……』
リョウクがやったらしい。
流石リョウク。女子力が高い。これ言うとリョウクに「僕は女子じゃない!」って怒られるから言わないけど。じゃあなんで冷蔵庫の中身がないの?
『リョウク、私がいない間に』
「来たよー
2日。ご飯作って食べたぁ
メンバーみんなとね
あべの秘密を暴こう大会してたから」
『は?悪趣味〜
変なとこ見てないでしょうね』
「ん、エロ本はなかったぁ」
なんだよそれ。満面の笑顔でエロ本の話するやついるかよ。しかも女でエロ本持ってるなんてドン引きでしょ。リョウクはキャハハと一人で笑う。
「でもねあべ、」
『ん?』
「僕だけ変なの見つけた」
『へ?な…に?』
リョウクが上半身を起き上げ、ジーンズのポケットから何枚かカードを出した。トレカだ。私のトレカ。しかもなんと全てリョウク。私は顔がかあっと赤くなった気がした。リョウクはにんまり笑う。
『それは、たまたま全部リョウクだったん、だよ、』
「でも嬉しいよ」
『あぁ…うん』
「あべ、
僕のことだあいすきだよね」
『あぁ…うん』
実を言うと、私リョウクが出るまでCDを買いつづけていた。
それはリョウクには一生言えないだろう。
( このトレカのリョウクが
一番イケメン。
で、このトレカが一番可愛い。で、 )
( うんうん! )