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□ひょく
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ぺろり
ヌルリと指先に走る生温い感覚で全身に鳥肌が立つ。私は一気に苦い表情をした。
遊園地に来た。隣に座っているヒョクは目で優しく笑いかけてくる。私は苦笑いをした。
『や、めてよ』
私の人差し指は今さっきまでヒョクの口内にあった。ヒョクは私の人差し指を口から取り出すと「嫌だった?」と言いながら笑う。
嫌とかそういう問題ではなく。
なんで指舐めるの?一緒にソフトクリーム食べてて口の横にクリームついてるよって言われて、自分の人差し指でクリームとった。
その人差し指を掴んで食べられた。
『汚い…』
「うわっ!
指拭いた!ひど!」
『ヒョクが舐めたからじゃん』
「クリームもったいなかったから」
『私が食べればよかったじゃん』
「えーだって、
あべの指だったから」
『汚いよ』
私はタオルで手を拭いた。ヒョクはそんな私を眺めてムスッとした表情をしていた。指を拭き終わりタオルを鞄にしまった。それと同時にヒョクはまた私の手首を掴んで人差し指を口内に入れる。
私は驚いて身体がびくりと反応した。ヒョクは私に上目遣いしながら人差し指に舌を絡めてくる。
こんな変なこと遊園地でする人いない。
『やめてっ、てば!』
私の人差し指がヒョクの口から銀色の糸を引いて出てくる。なんかいやらしくて目をそらしてしまう。ヒョクはニヤニヤしながら、「どうしたの?」なんて聞いてくる。私は再び鞄からタオルを取り出した。ヒョクにそのタオルを奪われる。
『ちょ、返し』
「こうすればいいじゃん」
ヒョクはタオルを持ったもう片方の手で私の手首を掴み、私の人差し指を私の口内に突っ込んできた。自分の指が自分の口の中に入っているわけだけど、その指は一回ヒョクの口の中に入っていたのだ。そう考えるだけで顔が熱い。
(ねぇ、帰ろ)
(え?ジェットコースター乗ら…)
(そんなのより楽しいことしようよ)