バハムート ラグーン

□Episode:0+1 放浪
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無邪気な騎士は満面の笑みでそう答えた。


ビュウは微笑してビッケバッケの頭を撫でる。



テード。


オレルス最下層、最果てに位置する小さな孤島。

グランベロスの息すら届かない忘れ去られし小島に、彼らは小さく、そして大きな秘密を持つ。



「さぁ、降りるぞ。」


ビュウの掛け声をもってして、サラマンダーは森の王国の地を踏んだ。
































多くの町や村で構成される国には、必ず末端が存在する。

海の僻地、山の頂上、もしくは崖の下。

当然であるが、このキャンベルにも辺境と呼ぶべき辺縁の地がある。


その未開の地で、彼女は苦しみ喘いでいた。




「ねぇ、このシェイカー、もっとスタイリッシュな物は無いの?
どうせなら中身が見える物がいいのだけれど…。」


混酒を作る際に必ず必要な道具を片手に持ち、ボディを空いた片手で指さしている。


「そうは言われてもね、お嬢さん。
こんな片田舎の金物屋じゃ、それが精いっぱいだよ。洒落たモンがお望みなら、城下まで行ってもらわないと。」


女の要求に、店主も手を焼いているようだ。



「そう、残念ね。
なら、バースプーンは?長いものしかないのかしら?」

「大は小を兼ねるってね。」


それは横着とも言うのではないだろうか。


「…メジャーカップはスプーン型しかないのかしら?
出来れば円錐の器が上下にくっついたの物がいいのだけれど…。」

「城下のバーではよく見るな。」

「ストレーナーはある?
こう、ミキシンググラスの縁にはめて、氷が出ないように抑える物なんだけど…。」

「何だ、そのミスキングなんたらって。」

ミキシングよ…。


はぁ、と盛大な溜息を吐き、カスティリアは肩を落とした。


致し方がない。

この村はキャンベルラグーンの彼方の村だ。

全ての道具を望み通りの揃えようなどと、高望みが過ぎた。



「城下町にも行くか?カスティリア。」


ひょいっと背後から付き添いの男が顔を出す。

ホーネットの翼の厨房を任せられている、彼女の同期だ。

両手にアイスペールの入った箱と、スクイーザーが入った箱を抱えている。こちらは無事に手に入ったらしい。




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