星矢(Maine novel)
□First Ignition
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“いや”だと…?!
いや、だめ、まって、あん、はナイスバディ超絶美女にのみ許された発禁文句だ。(注:断じてそんなことは無い。)
それをこの娘…幼女の分際で少しの躊躇もなく口にするとは何事だ。
貴様のような洗濯板娘に許された台詞ではない。
「ガキが…調子に乗るなよ。」
俺はガシリと女児の小さな両肩をつかむ。
幼児の肩肉の感触は、女盛りの軟な胸筋の感触と酷似していた。
悪くはないが、如何せん俺にはその厚みが乏しくて仕方がない。
もっと重量があって、片手で包んでも包み切れないほどの質量に、揉んで捏ねても崩れない弾力性が欠けている。
…やはり俺は鬼畜に欠けているな。
感触だけでその気になどなれなはしない。
ともすれば、この女児は俺の膝に乗るに値しないのだ。
「降りろ。そこは貴様の乗っていいところではない。」
「ユイだって、すきでこんなところにのってるわけではないわ。」
「?!!」
な、何だと…??!!
この俺の膝に好きで乗っているわけではないだと…?!!
しかも、こんな‟ところ”?!!
クソガキめ…。
この俺の膝に跨りたくても跨れない女がどれほどいるのか分かった上での発言か?!
貴様の背中には、俺に集中する赤面ポーっの女どもの視線が感じられんのか!
「き、貴様」
「うん。でもなかなかハンサムね、ごうかく。」
女児は俺の顔に己の顔をずいっと寄せ、更に俺の面用を覗き込んだ。
「…っ!」
良い間合いだ。
成人した女なら、此処で口づけの一つでもかましてやれば、夜明けの珈琲まっしぐら。
女に近寄られるのも近寄るのも、俺にとっては日常茶飯事で朝飯前。しかし、幼児はそうともいかない。
ここで俺と幼女のキスシーンなど見たくはないだろう?
何より、俺自身が変態の仲間入りは御免だ。
「おい、あまり顔を近づけるな。俺が変質者に思われてしまう。」
「だいじょうぶよ。オヤコっておもわれるかも。」
「親…?!ふざけるな!俺は独身だ!それに若い!貴様のようなでかい子供がいてたまるものか!」
「ユイ、3つ。」
「俺は29―――…。」
くそっ!丁度いい年齢ではないか。
「…―――年齢はさておき、貴様と俺が親子に見られるわけが無かろうが。
お前はどう見ても日本人、俺は生粋のギリシア人。似ても似つかん。」