Side Story

□過去の拍手たち
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『不滅の娘』



覚悟を決めたの。



あれだけの方々に応援されて。

幸せを願われて。


踏み出してみなくちゃって、思ったの。


不安だけど。

不安しかないけど。


寄せられた想いが…嫌ではないから。


ただ自信が無くて。

貴方を想う気持ちに、自分の気持ちに自信がなくて…。


だから、だからこそ。


歩み寄らなければいけない。

この胸に疼く気持ちが何のか。

同情なのか、友情なのか、それとも愛なのか。


駄目ね…。

他人の愛は鋭く感じられるのに、いざ自分となると何も分らなくて。


私が賢いなんて、誰が言ったのかしら?

賢くなんてないのに。

自分の気持ちすら分らずにいるのに。


貴方を好き?

愛している?

何よりも?

誰よりも?

友人よりも?

家族よりも?


貴方はそうなのかしら。

何よりも私を愛して、誰よりも私を愛してくれているのかしら?


あの日、耳元で紡がれた言葉が蘇る。


“愛している”


縄で心臓を締め付けられるかのように、脳裏で囁かれるだけで、その言葉は私を悶絶させた。


死に至らないのに、死にそうな痛み。

貴方に身を委ねれば、この痛みは和らぐのかしら?

貴方の傍に置かれたならば、この痛みは消えて無くなるのかしら?


「貴方を―――」


心で唱えた言葉を、再度声に出す。


「好き?」


耳に聞こえた己の声に、己の両頬が発火するのを感じた。














「ごめんください。」


貴方に会おう。



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