story_tnpr

□【キリノ瑞希様へ】相互記念小説
1ページ/3ページ


財前視点






*----------*


「財前、半端な気持ちやったら、オレが謙也もらうで。」

部長から発せられた言葉は、俺が考えもしない言葉やった。




謙也さんとダブルスを組み始めた頃から、俺はすでに謙也さんのことが好きになっとった。
皆に愛される性格、常に笑顔、優しい言葉に、面白い言動。
謙也さんのその全てに惹かれとった。

「謙也さーん、今日はダブルス練習しましょ」
「おー、ええで!」
もっと謙也さんに近づきたくて、俺は更に謙也との距離を縮めようと、懸命に喋りかける。謙也さんの明るさに、疲れがとれていくような感覚になる。
だが、
「謙也ー!今日もかわええなぁエクスタシーやなぁ!」
「…部長」
俺が部内で一番邪魔だと思っている人物、テニス部の部長、白石部長や。
ほんまうざい。何で2人でいるときにつっかかってくんねん。
「なー謙也ー今日はオレと練習しようやー」
「白石…今日はもう財前とダブルス練習するって決めたばっかやで。また今度な!」
「部長ざまぁ」
「口が悪いで、財前!それに対して謙也は優しいなぁ!」
部長が謙也さんの頭をわしゃわしゃと撫でる。
ほんまむかつく。
「謙也さんはのんきですからね。」
「なんやと財前!謙也はだたのんきなだけやないねんで!」
「のんきは否定してくれへんの!?」
「さ、謙也さん、練習始めましょ」
「おうー!」
謙也さんは元気よく返事をする。もうアホでものんきでもなんでもええねんとりあえずかわいい。
だからついついいじめたくなんねん。

「おはようございます、今日もアホ面ですね。」
「またこけたんですか。ほんましょーもない」
「いまのボールなら追いつけたでしょ。スピードスターの名が泣くわ」

でも今思い返してみると最近こんなんしか言っとらん気がする。
でも謙也さんは優しいから嫌がるそぶりも見せへん。やから俺がいくら言ったって平気やと思っとるんやけど。
謙也さんは傷ついてるんやろか。

.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ