異世界記録 閲覧注意書架

□約束
2ページ/3ページ

####


時は流れて平成の世。


「ふぁ〜!」


大きな欠伸を一つした。

(今日も暇だよねぇ、俺様。)

交差点付近の信号を待つ。
信号が青になり、人に紛れて自分も進む。

横断歩道の中頃まで来た時だった。


「旦那…?」


赤い服を着た、活発そうな青年。

その青年と、目がかち合った。


「……。」


そうして、どれくらいしていたのだろう。

俺と青年は、クラクションの音で気がついて反対側へと急いで渡った。


「旦那…?俺…」

(迎えに行くから)


かさなって聞こえた声。
とても懐かしい感じがした。


「迎えに来たよ。旦那。」


それは、誰の言葉だったのだろう。

俺の意思とは裏腹に、口が勝手に動いていた。

「…ごめん。俺様、何言ってるんだろ。」

「佐助?佐助か?」


いつかの記憶。
もう、忘れてしまっていた記憶。

でも、ちゃんと守れた。
やくそくは、果たせたから。


「旦那、ごめんね。守れなくて。」

「佐助ぇ…!」

「今度は、ずっと一緒だから。」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ