異世界記録 閲覧注意書架
□約束
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時は流れて平成の世。
「ふぁ〜!」
大きな欠伸を一つした。
(今日も暇だよねぇ、俺様。)
交差点付近の信号を待つ。
信号が青になり、人に紛れて自分も進む。
横断歩道の中頃まで来た時だった。
「旦那…?」
赤い服を着た、活発そうな青年。
その青年と、目がかち合った。
「……。」
そうして、どれくらいしていたのだろう。
俺と青年は、クラクションの音で気がついて反対側へと急いで渡った。
「旦那…?俺…」
(迎えに行くから)
かさなって聞こえた声。
とても懐かしい感じがした。
「迎えに来たよ。旦那。」
それは、誰の言葉だったのだろう。
俺の意思とは裏腹に、口が勝手に動いていた。
「…ごめん。俺様、何言ってるんだろ。」
「佐助?佐助か?」
いつかの記憶。
もう、忘れてしまっていた記憶。
でも、ちゃんと守れた。
やくそくは、果たせたから。
「旦那、ごめんね。守れなくて。」
「佐助ぇ…!」
「今度は、ずっと一緒だから。」