Short novel

□世界中で君だけが…
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この指が乱暴になる瞬間を知っているのは、この世界で君だけ







『昴、…っ』




「何だ…?」







まだ熱が残るその肌に、悪戯を仕掛ける




滑らかな白い肌の上を俺の指は遊ぶように辿って




その度に漏れる甘い声に酔いしれる







『ね、もう…っ、』




「もうーーーーー何?」




『だから、さっき、』




「“たくさんしたでしょ?”」







カァッと赤くなる音が聞こえそうな程、実佑の顔が染まる




この反応が可愛いから、俺はつい実佑をいじめてしまう




俺のベッドの中、シーツに包まる実佑




肌を晒したまま、うつ伏せになって。




恥ずかしさからか、ぎゅうと枕に顔を埋める実佑の背中にそっと唇を寄せる




綺麗な背中、見つめるだけで目眩がしそうな







「…足りねぇよ。あれだけじゃ」




『……っ』




俺が珍しく甘えるようにそう呟くと、実佑は息を飲んで




それから視線だけを、ゆっくりと俺に向けた




そして、熱に潤んだその瞳は俺を誘っているようで…




なんて思うのは、図々しいか?







『…ずるいよ、昴。』




「なんでだよ?」




『昴にそんな風に言われて、私が断れないこと知ってるくせに』







もちろん、知っていて言っている




それは、どうしても実佑に許して欲しい俺の欲望だから




俺の願いを叶えられるのは、この世に実佑しかいない。







「触っても……いいか…?」







殊更に甘くなった声を耳元で囁いて髪の毛の隙間から覗いた首筋に、優しくキスを落とす




一時間前、陽が落ちるよりも早くもう何度もお互いの熱を確かめ合ったのに




もう足りねぇなんて、どうかしてるかもな




それでも俺の指が、実佑を求めて彷徨って




触れたいと思う衝動に、いつも俺は勝てない







「俺のこと見てろよ」




『…やだ』







こういう時、実佑は顔を見られることを嫌がる




きっと変な顔してるから、と実佑は言うけれど




俺からしてみれば、何よりも可愛い表情




俺を感じてくれているのが分かるから







「…キス、してぇ」







なんて甘い言葉を囁く




もちろんキスをしたいのも本音だけれど




実佑の顔が見たい




俺を、もっと見て欲しい




その瞳で、衝動に流されてしまいそうな状況だからこそちゃんと愛し合ってること、確かめたい







『もう、ホントずるい…』







降参して振り向いた実佑にすかさずキスをする




最初は唇を触れ合わせるだけ




それは次第に深いものへと変わっていく




逃げる実佑の舌を絡めとって、上顎をなぞる




実佑がぴくりと震えるのが分かって、キスは終わりを見失ってしまう。









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