Short novel

□睡眠時間
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相手は男の人…なのに




欲求不満




すっごい綺麗な鎖骨




何ていうかさ、昴さんは良い体しすぎてると思う








腕とか足とかお腹とかは職業柄ほどよく筋肉ついてるし







あー、もう、キスしたいなー





むちゃくちゃにキスしてやりたい





……危なすぎる、あたし








「ん…」







私がこんなやましいことを考えてるとは知らずに




当の本人は寝てます。ぐっすりと





あたしのベッドなんだけどなぁ、それ





いいけどね








『昴さーーん』





「………。」








反応ナシ





めずらしく熟睡してる








『起きないと、キスしちゃうよ。……ところかまわず。』







って、痴女かあたしは




でもさ、こんな綺麗に作られてる昴さんも悪いと思うんですよ




昴さんは男のくせに肌はつるつるだし、髪の毛はさらさらだし




目も大きくて、まつげ長いし




そりゃ、誰だって手出したくなりますって




目の前で、こんな無防備に寝られたら







『……本当にしちゃうよー……』







指で頬に触る。鎖骨に、唇に、髪の毛に。




それでも昴さんは起きなくて、長いまつげが伏せられてる




キス、しちゃおうかな




昴さんが起きてたら、恥ずかしくて絶対出来るわけないし




寝息がすぐ傍で聞こえる







(………今なら)







心臓がドキドキ言ってる




今にも口から飛び出しそうな勢い




あと、数cmで、唇に触れそうな距離







(………やっぱ出来ないや)




恥ずかしいし、寝込み襲ってるみたいだし(いや実際襲ってるんだけど…)







大人しく、テレビでも見ようっと







『――…っ!?』







ベッドに背を向けた瞬間




ぐるんとあたしの景色は一転し




気が付いたら、後頭部に枕の感触







『…………。』




「なぁ…」




『…は、はいっ!?』




「ところかまわずキスしてくれるんじゃなかったのかよ?」




『…は、え、……えぇ!?』







あたしを見下ろすのは、ついさっきまで寝ていたはずの昴さん




何か、満足そうにSな笑みを浮かべていますけど







「仕方なく待ってやってたのに」




『え、っていうか起きてたの!?』




「実佑が起こしたんだろ?」




『い、いつから!?』




「実佑が喋り始めたときから」







つまり最初からってこと




本当、性格悪いよ。この男!







「なぁ、しねぇの?」




『いやー……もう、いいかなぁって。』




「実佑…お前もしかして欲求不満じゃねぇ?」




『誰が!』




「寝てる俺のこと襲おうとしたくせに」




『し!……してたけど……』




「ほら。どんだけ俺に惚れてんだよ…」




『も、やだ!昴さんのばか!』




「キス出来るもんならしてみろよ?実佑なら大歓迎」




『しないー!』




「なら、…俺からするまでだ」




『え、ちょ!きゃあ!』




「満足させてやるよ…」


























Fin









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