長編〈世界の狭間〉

□第2夜
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〜ところ変わって淡瀬家〜







蕾の家の客間では、黒服に身を包んだ4人が揃って正座をしていた。


「…と、とりあえずお茶とお菓子、どうぞ…」


コトッ、コトッ、と丁寧に湯呑みと小鉢を置く蓬。


「…こんな奴らに菓子なんか出さなくていいのに…」
「姉さん!」
「だって蔵壊した!」
「約1名だけね」


笑顔で言い放った蛍に、蕾と蓬はバッと蛍の方を向いた。


「…蛍……あんた時々怖いこと言うわよね」
「へ?」
「まぁ無自覚なんだろうけど…」

蕾は苦笑いをした。





『…リ、リナリー………僕、足が痺れてきました…』
『わ、私も……』
『…でもここで崩すと、あの子にバッサリ首を持ってかれるさぁ』

足を崩すと蕾に首を斬られるのではないかという恐怖心で、足を崩すことの出来ない3人。

そんな3人に気付いたのか、蛍がラビに話しかけた。


「あの……足、崩して構いませんよ?」
「へ?マジで?」
「ちょ、おいっ蛍……」
「だって関係ないでしょこの3人は」
「………ちぇっ」

蕾は納得がいかないのか、少し口を尖らせた。

「あ、あと、私は英語を話せないんで…そちらの2人にも伝えてください。」
「…ホントにありがとさぁっ!!」

そう言ったあと、ラビは目を輝かせてアレンとリナリーの方を向いた。

『おいアレン!リナリー!足崩していいってさ!』
『ほ、本当ですか!?』
『私、もう限界だったの…ありがとう!』
『ありがとうございます!』
「You are welcome.(どういたしまして。)」
『『『!?…英語!?』』』

笑って答えた蛍に、3人は驚いた。

「さっきアンタ、英語話せないって言わなかったか?」
「これくらいならなんとか…」
「――で?あんたら何者なんだ?いきなり蔵壊しやがって…」

どす黒いオーラを放ちながら問う蕾。
あまりの恐ろしさにラビ、アレン、リナリーは震えている。

『か、神田ぁ!早く自分の責任は自分で負って下さい今すぐに!!』
『はっ、知るか』
「コラッ!ちゃんと説明してください!」
「…チッ…」

蛍に怒られ、渋々神田は説明をした。


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