戦国男士

□お花見
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「たーいーしょー‼」
資福寺にひょっこり顔を出したのは大内だった。

「大内。どうした?」
大将事、伊達政宗が大内に気づいた。

「あれ、片倉は?」

「バイトだってさ。終わったらメシ食いに来るって。」

大内は靴を縁側で脱ぎ、部屋に入る。

「そっか。んじゃ、ちょうどいい。」
どっこいしょ。と畳に座る。
何故か表情が硬く、落ち着かない感じだ。

「どうかしたのか?」

「いや、何もないっす。」
政宗に聞かれても、堅苦しい笑顔で返事を返す。
大内の変な態度に政宗は不思議に感じた。






午後六時半。
小十郎が資福寺に来た。

「こんばんは。あ、大内さんも一緒でしたか。」
いつもの黒いスカジャンに右手にはサックスのケースを持っている。

「よ、片倉!バイトお疲れ‼」
胡座をしたまま、小十郎を迎える大内。

「お、小十郎。ちょうど出来た所だ。食べようか。」
台所から顔を出す政宗。
エプロン姿で手にはタオルを持ってる。

「大将のメシだー!あ〜腹減ったー。」

「いつもありがとうございますね。」

運ばれて来た今日の料理は肉じゃが。
食べ盛りの男二人にとってはご馳走である。

「うぉー‼すんげェうまそう!」

「美味しそうですね。いただいていいですか?」

「あぁ。食べてくれ!」

いただきます。と言い、肉じゃがをがっつく二人。
大内は一瞬でご飯のおかわりを要求した。



肉じゃがも残り少しになった時だ。

「大将。実は話があるんですけど…。」
先程とは改まり、はしを置く大内。

「…どうした?」

「…相談っと言うか、提案と言うか。」

片蔵もそっとはしを置いた。

資福寺に来た時から様子がおかしい大内。
政宗も不思議に思ってた。

「…実は。」

空気が重くなった。

しかし、次の一言で一気に軽くなった。

「お花見、行きませんか?」

「…え?」
政宗も小十郎も気が抜けた返事をした。

「いや〜。ぶっちゃけ俺って喧嘩ばかりだったんでお花見ってした記憶がないんですよね。だから大将の料理を食べながら、桜でも見たいな〜って。」

少し照れるような表情を浮かべる大内。
政宗も大内もつられて顔が笑ってしまう。

「いいよ、しようぜ。俺もお花見したいし。」

「いいですね。僕も桜をゆっくり見たいですし。」

二人の返事を聞き、顔が明るくなる大内。
とても嬉しそうだ。

「えー‼政宗君、お花見行くの⁉私も一緒に行きたい‼」
ちょうど学校から帰って来た愛が駆け足で入ってきた。

「あぁ。愛も行こうか。んじゃ、明日近くの公園で‼」

「やったー‼政宗君とお花見だ!私がお弁当作るね。」
愛の言葉に全員が否定した。
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