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□第6話
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『おいしい…』
今までに飲んだお酒の中で、一番飲みやすい。
「ありがとうございます!…ごゆっくりどうぞ」
素敵な笑顔を残して去って行く店員さん。
再び一人になり、向かいの席に目を向ける。
…えっ!?今、目が合った?;
私はぬらりひょんさんと目が合ったような気がして、とっさに違う方向を見た。
大丈夫…だよね?;
出来るだけ向かいの方を見ないようにして、おつまみにも手を伸ばす。
そのまま半分くらい飲み進めた所で、机に影が射した。
『なに…?』
顔を上げると、とてもガラの悪そうな男の人…妖が二人。
「おい、姉ちゃん!一人なら一緒に飲まねぇかぁ?」
「向こうの席で俺達と飲もうぜ!!」
見るからに顔が赤くて、既に酔っている男達。
『すみませんが、遠慮します』
眉間に皺が寄るのを堪えて、出来るだけ笑顔で返事し、相手を怒らせないようにする。
「そんなこと言うなよ〜」
「ほら、向こうに行こうぜ!」