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□第12話
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二週間程前に“妖月光”で出会った男…
“ぬらりひょん”
その男が今、目の前に居る。
けれど、彼が知っている私は狐の妖…今の人の姿はまだ知られていない。
なんとか…誤魔化さないと;
『どちら様…ですか?』
「…お主、わしの知り合いによく似ておる」
っ…いきなりバレた!?
『見ての通り私は人です。妖に知り合いなどいませんよ』
淡々と話してはいるが、自分でも笑顔が引き攣っているのがよく分かる。
次の瞬間、ぬらりひょんさんに腕を捕まれ、もう駄目かと思った瞬間…
「あれ?ぬらちゃんやないの。何しとるん?」
「秀元…邪魔してるぞ」
「それはいつものことやからええけど…とりあえず、手、離してあげてや」
そう言われたぬらりひょんさんは渋々といった様子で、手を離し、扉の傍に立つ秀元さんの方へと振り返った。