Main
□第10話
1ページ/5ページ
今日は、ある女の子が訪ねてくる。
その子には、昼頃に来るように言ってあるから、そろそろ来るはず。
そう思い、門から外を見てみた。
すると、道の向こうの方から歩いてくる人影を一つ、視界にとらえた。
案の定、それは待っていた人だった……
が、その子は屋敷の前を通り過ぎていく。
また、何か考えとるんやね;
「真紀ちゃん、真紀ちゃん」
呼び掛けると、ピタリと歩みを止め、辺りを見回している。
「真紀ちゃん、こっちやで!こっち!」
こちらを振り返った目と目が合う。
『秀元さん…何してるんですか?』
「何してるって、君のことを待ってたんやで」
『私を?』
「そうそう。約束したやろ?覚えとらんの?」
『覚えてますよ、もちろん。だから、ここまで来たんですから』
「それもそうやね。でも、吃驚したわ。僕の屋敷通り過ぎて行くんやもんなぁ」
『すみません;ちょっと考え事をしてたので…;』
僕が声を掛けてくれなければ、そのまま歩き続けていたと思う。