Main

□第8話
1ページ/4ページ


面白い女じゃ…


先刻、妖月光に来た狐の女は、見ているだけで実に面白い。

わしと目が合った瞬間、勢い良く目をそらし、周りを見回したかと思えば、今度は自分を見て何か考えている。

その後、店員が運んできた酒を飲み、やっと落ち着いたのかと思った……

が、女に近づく二つの影があり、わしは眉を潜めた。

どうやら、酔っ払っている男に絡まれているようだ。

席が近いため、ここまでかすかに声が聞こえてくる。



………

『すみませんが、遠慮します』


凛とした声が、賑やかな店の中で、やけにはっきりと響く。


「総大将、どうかしましたか?」

「まだまだ酒はあるぞ!」


酒を飲む手が止まっていたわしに牛鬼と狒々が話し掛ける。


「あぁ、少し面白いものを見つけたんじゃ」

「総大将!大人しく飲んでいて下さいよ!!」

「なんじゃ、カラス天狗。あまり小言を言っていると、早く年をとるぞ」

「誰のせいですか!?」


まだ横で小言を言っているカラス天狗は無視する。

どうやら周りの客も騒ぎに気付いたようだ。

先程までとは違う賑やかさが店内に広がっていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ