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□第5話
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私は珱姫が一人で寂しくないように、暇な時間には、できるだけ会いに行くことにした。
大坂城を離れて三年、一度も城には帰っていない。
千年の時を生きるのが当たり前の妖達にとっては、三年などはたった一瞬のことだろう。
しかし、人は違う。
三年が過ぎ、私は十七歳、珱姫は十五歳になった。
おそらく、あと半年程の間に、珱姫とぬらりひょんさんは出会うだろう。
原作に近づくにつれて、珱姫の神通力に助けてもらいたいと言う者が増えてきた。
珱姫に会えずに珱姫の父に追い返されることもあり、ここ最近、まともに話すことができていない。
そして、鬱憤の溜まった私は、夜、使用人が寝静まった頃に屋敷を抜け出し花街へと繰り出した。
もちろん、いつもの人間の姿ではなく、妖の姿で…
ここ一年の間にお酒の楽しさを覚えた。
あまり強い方ではないので、少量のお酒を隠れて飲んでいたりする程度。
そんな私が向かうのは、城に住んでいた頃に、しょうけらや茨木童子、天狗に聞いたことのある妖だけが来る飲み屋…
『妖月光』
ずっと行ってみたいと思ってたのよね♪
満月の夜ということもあり、妖の血が流れる私の気分は上がる一方。