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□第4話
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城をしばらく出たいと言うと、町の様子を見るのも良いだろう,と言い、意外にも簡単に大坂城を出る許可を貰うことができた。

好きに出歩けるように、できるだけ城から離れた屋敷に住むことにした。


『母様、人間の使用人を何人か連れて行っても良ろしいですか?』

「人間なんぞで良いのか?」

『町に妖を連れて行くと目立ってしまいますので;』

「ほほっ、それもそうじゃの。好きなだけ連れて行くがよい」

『ありがとう、母様』


もしかしたら、母様に会うのはこれが最後かもしれない。


考えは理解できないけど、私を生んで,娘として可愛がって育ててくれたのはこの人なのだ…


私は精一杯の笑顔で感謝の言葉を口にした。


「椿姫、いつでも好きな時に帰って来るのじゃぞ」

『はい』


次の日、私は五人の使用人を連れて大坂城を出た。



…………

半年が過ぎ、町での生活にも慣れ、平穏な日が続いている。


そして私は今、屋敷を出てある所に向かって歩いている。

三十分ほど歩き、立派な造りの屋敷の前で立ち止まると、一人の男が近づいてくる。


「姫様、お久しぶりにございます」

『お久しぶりです、是光さん』


以前、屋敷を訪問してから、もう一月程過ぎている。


「珱姫様のお部屋まで、ご案内します」

『えぇ、お願いします』
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