☆短編集〜銀切華〜

□you are mine.
1ページ/3ページ






『……ん……』



怠い……


体を起こして辺りを見渡す。


空っぽになったビールの缶。

コンビニで買ってきた夕飯。


時計を見ると午前2時30分少し過ぎをさしていた。



どうやら酔い潰れてそのまま寝てしまったらしい。



『おぃ……起きろ』


そのままでいる訳にもいかないのでとりあえず隣にいるやつを起こす。


『……っ……なんだよ』


すると隣のやつ、もとい高杉は不機嫌そうな顔でこっちを睨んできた。


ちなみにこいつはこのアパートに一緒に住んでいる俺の大切な恋人。




『昨日、酔い潰れてそのまま寝ちゃったの。お前をベッドまで運びたくねーからさっさとベッドに行け』


机の上の空の缶やらをごみ箱に捨てながら言った。



『…………………。』


返事は返ってこない。

しばらくの沈黙。




片付ける手を止めて振り返ると前から抱き着くように高杉の手が絡み付いてきた。



『いーじゃねぇーか面倒くせェ。このままここで寝ちまおうぜ?』


『よくねぇって。もう春だっつってもまだ寒いし風邪引くから』




俺も高杉を抱きしめて触れるだけの優しいキスをして言った。




『………じゃあ……引っ付いて寝ようぜ?』



酒がまだ残っているからか、それとも寝起きだからか



『お前……誘ってんの?』



下にいる高杉はまるで甘える子供のように俺を見上げている。


『……さぁ?』







『……っ…んん…』


誘惑に負けて高杉の口に自分の口を重ね、舌を入れる。



上気した顔。

こぼれる吐息。


どれもこれも俺だけのもの。



『…ぷはッ……。あらあら晋ちゃんそんな嬉しそうな顔して』



キスをした後の顔を見つめてそう言った。



『別にしてねぇーから//』



その顔で言っても説得力ありません。





次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ