☆リクエスト

□教師の特権
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俺はいつものように高杉と国語準備室で話をしながら仕事をしていた。
すると高杉は眉間に皺を寄せ始め、止めたと思ったら突然こんな事を言ったのだ。

「なァ…お前の白衣と眼鏡貸せ」
「え、いきなりどうしたのッ…痛い痛い!脱ぐから引っ張らない!!」

言われた通りに白衣と眼鏡を差し出せば、ぼやけた視界に映った高杉は満足そうに笑う。
最近は喧嘩も少なくなり、彼は歳相応に笑うようになった。
それが嬉しくて俺も口元を緩ませる。


「…どうだ、似合うか?」

目を細めて高杉の姿を確認する。
紅いワイシャツの上からぶかぶかの白衣を被り、眼帯の上から眼鏡というなんとも特殊な格好は、あまりにも彼に似合っていなかった。
けれど、だからこそ…愛おしく感じた。

「可愛いよ」

そう言って頭を撫でると、不満そうにぶつぶつ言いながらも気持ち良さそうに目を瞑る。
無防備過ぎるその姿に理性が無くなりそうになったが、慌てて我慢した。


「それでさ、高杉はなんでそんな格好したの?」
「高杉じゃない、高杉先生だ!!」

まるでどこかの長髪バカのような事を言い放った高杉に事情を聞くと、「今は白衣と眼鏡を俺が付けてるんだから俺が先生でお前が生徒な」と意味がわからない言い訳をされた。
他にも色々言いたい事(たとえば俺は白衣を着て眼鏡をしているから先生な訳ではないとか)があったが面倒臭いので止めた。


「それで、高杉先生は何を教えてくれるんですかー?」
「あーじゃあ数学を…{√{{tan^{-1}{e^{2nπi}}}^{-1}}{…」
「ごめん、ごめん俺が悪かった!」

高杉の成績は学年トップだったなと改めて思って苦笑する。
したり顔に何だか腹がたってしまう自分はまだまだ幼いなと感じた。


「おら、もう返せ」
「…なんか怒ってんのか?」
「別に」
「んじゃあ最後にもうひとつ、――銀八俺にキスしろ」
「は?」

今、高杉が言ったことが上手く理解出来なかった。あいつから俺を誘うことなんてあっただろうか。


「お前、いつも教師の特権とか言って偉そうにそう俺に命令してくんじゃねーか。だから今度は俺が命令する番だ。なんか文句あるか?」


なるほど、高杉なりの仕返し。だけど残念ながらもう我慢はしてやらねェよ?



「ないですよ、高杉先生」


END




大変遅くなってしまったのに内容までグダグダですみません。
こんな感じで良いのかも分からず…気に入って頂けたら嬉しいです。



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