☆リクエスト

□気持ち0.距離
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10.

俺の名前は坂田銀時。
近所の共学高校に通っている2年生。

ジャンプと甘いものが好きで、剣道部の副部長をしている。
生まれ持った銀髪と紅い眼の影響で入学当初から注目を浴びていた為、友人関係に支障はない。

そして自分で言うのもなんだが…人並み以上にモテる。
告白もされるし付き合ったこともある。

そんな、周りからリア充リア充言われる俺は誰にも言えない悩みを抱えていた…。



9.

――――Aが、この数式より線分Qの…

静まり返る、本日6時間目の数学の授業。
カツリカツリとチョークで黒板に文字を刻む音、教師の声、ノートにペンを走らせる音。

それらを退屈そうに聞き流し、頬杖をつきながらシャーペンをくるりと回転させた彼の視線はある一点…
窓際の前から2番目の席に座り、真面目にノートを取っている青年を視界に入れた所で止まった。

ドクリと彼の心臓の鼓動が高まる。
この気持ちをなんと呼ぶのか、彼は知っていて。だからこそ困惑していた。

(俺が男を好きになるなんて…)



8.

『高杉―』

授業が終わり、SHLが終わるとそれぞれ思い思いに家やら部活へ向かう。

今は中間前なので部活はなし、ほとんどの人々が帰宅する。
それは彼も例外ではなかった。

恋に臆病なのは彼の性に合わないらしく、今日も想い人高杉晋助を誘って帰るようだ。

『ん、ああ。ちょっと待ってろ…これをロッカーに入れてくっから』

彼と高杉の関係は、同じ部活で普通に仲の良い友人でしかない。
もちろん、そう思っているのは高杉だけなのだが。



7.

彼はガチャと下駄箱を開け、上履きと下靴を取り換えた。
靴先を地面に叩き付けてしっかりと履いたところで顔をあげた坂田は高杉の異変に気づいたようだ。

『履き替えねェの?』
『なぁ坂田。これって…』

そう言って高杉が差し出したのはハート柄のピンクの便箋。
明らかに女の文字で、晋助君へと書かれていた。

『ラブレター…だよな?』

確かにそれは彼も何度か貰ったことのあるそれだった。



6.

――今日の放課後、体育館横の花壇で待ってます。

高杉のラブレターにはそう書かれていた。

差出人は学年でも1、2を争うほどの女で。坂田に一度、告白して振られている。

『と、言う訳らしいわりィな坂田、今日は先に帰ってくれ』

ラブレターを渡された以上、YesにしろNoにしろそこに行くべきだと高杉は考えているようだった。

『はァ?いいじゃねェか。んなもんほっといて帰ろうぜ』

それに対して、坂田は自分が好いている高杉がラブレターを貰ってのこのこ会いに行くのが嫌らしい。

『そんな言い方しなくたって…』

『お前の事好きな奴なんて掃いて捨てるほどいるじゃねーか。わざわざ相手してやる必要もないんじゃね?』

『坂田…これは俺の問題だ。てめェには関係ない。』

その言葉が頭にきたのか、それだけ呟き下靴を履いて体育館の方へ去って行った。

『関係ない…ね。俺だって』
(お前の事が好きなのに)



5.

『待てよ、高杉ッッ』

しばらく下駄箱で立ち止まっていた坂田だったが、まんざらでもなさそうな高杉を見て何かを決心ししたようで高杉を追いかけてきた。

『あァ?』

高杉の機嫌は最悪。

彼は勝率のなさそうな賭けはしない主義らしいいが、今回の場合は元から勝ち目なんてないと思っているようだ。
当たって砕けてお終いなのが目に見えているが…彼は気持ちを抑えきれないらしい。

パシッと高杉の腕をつかみ、自分の方を向かせて一言

『俺はお前が好きだ!!』

ひと気のない裏道に声が響いた。





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