☆リクエスト

□あぁ、また雨か。
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あぁ、また雨か。

そう思いながら屋形船の窓から空を眺めた。無限に広がる黒色の空には黒色の雲が浮かんでいる。その中から落ちてくる黒色の雨。


あぁ黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒………。



それが自分の心の中に染み込んできたのだと錯覚してしまうほどに、俺の中は黒で出来上がっていた。


その黒をキセルの煙りと共に吐き出そうとするも、出るのはただのため息だった。




『晋助、白夜叉が…』


この前の万斉の報告。


『晋助、この間のやつが…』


その前の報告。


『晋助、また白夜叉が………』


さっきの報告。





なぁ。何がしたいんだよ。

俺を敵に回して楽しいか?




―――――――――――――――



『ねぇ晋ちゃん?』


幕府が負けを認め、俺が鬼兵隊と共に過激攘夷活動を始めた頃。

俺と銀時はまだ繋がっていた。


『本当に攘夷活動続けるの?』


お前はまたそんなくだらねェ質問を俺にするのか。


『当たり前だろ。先生を殺したこんな世界をどうして許せる?』


((こんな腐った世界。

壊されて当然だろう?))


そう俺が言うと。
そいつはいつものように『そっか』と一言。無駄に悲しそうに笑いながら言った。


それはいつもどうりだったのに、銀時はそのまま姿を消した。




―――――――――――――――



『また白夜叉が一騒動起こしてくれそうでござる。真選組と手を組んで我等鬼兵隊の計画を止めようと足掻き始めた』

『ククッそうかィ』

『晋助………?』


狂ったように笑う俺を見て何か思ったのか、俺の名前を呼ぶ。

お前に心配されるほどまだ落ちぶれてはいねェよ。


『わかった。もういい下がれ』


その言葉と同時に万斉から目を逸らし空を眺める。



あぁ、また雨か。






前に銀時は言っていた。

この世界には守るべき大切なものもあるはずだと。


じゃあそれを全て失った俺はどうすればいいんだ?


先生も仲間も。


そして狂うほどに愛していたお前も。



((全てを奪っていった世界なんて

壊されて当然だろう?))







だから俺は答えた。



全てを壊せばいいのだと。






END


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