ごちゃまぜ銀高企画、本棚

□偽りは残酷で
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やけに眩しいような気がして閉じた瞼を開ければ、目の前に広がるのは見覚えのない天井だった。
無意識に息を飲んだ俺は耳を澄まして気配を探る。殺気などは感じない。
違う場所、違う布団、違う衣服。
確か俺はいつも通り仕事を済ませ、軽く酒を飲んで寝床に入ったはずなのに何故。

起き上がり、辺りを見回せばどこか懐かしくて――不思議と胸が高鳴った。
いつまでも此処にいても仕方がないと、障子を開ければ一面の雪景色。
「道理で寒いわけだ」 そう呟くと白い息が逃げていった。

それにしてもこの景色、どこかで見たことがあるような。
いつ、どこで。そんな疑問が頭の中をぐるぐると回っていたが、しばらくして答えが見つかった。
そうだ、ここは…

「高杉!?」
いきなり呼ばれた名前と振り向いて見た容姿に、一瞬思考が停止した。

「もう動いて大丈夫なのかよッ…目は…」
銀髪の天然パーマ、紅い瞳。間違うはずもない坂田銀時である。どうして銀時がここに?これは夢なのか。
そんなことを考えていたら、急に顔を掴まれて彼の方へ向けられた。

「傷が…ない…?」
「傷?」
至近距離、真剣な目で見つめられる。こんなに近くで銀時の顔を見るのは何年ぶりだろう。

「お前、この間の戦で化け物に左目を切られたんだろうが!!」
戦?傷?左目……?

「それは…お前だろ…?」
「えっ」
俺の発言に驚き、銀時は目を見開いた。

しばらくそのまま固まった後、俺の額に手を当てて一言。
「熱でもあんの?」

その質問に首を横に振って否定を伝える。

「そう?…まぁなんかわかんねーけど晋ちゃんが元気そうで良かったよ」

動いてそう言葉を発した唇が俺の唇に触れる。
急な出来事に息をするのも忘れた。甘くて優しいキスがいつもより長く続いたような気がした。

「さて、高杉を補給したところでみんなの所に行こうぜ。奇兵隊の奴らも心配してる」



突然、そう言って笑う銀時の顔に違和感を覚えた。

違う、違う。
これは銀時じゃない。

銀時のキスはもっと荒々しくて、態度はもっとぶっきらぼうで?

違う…これは


「俺が愛した銀時じゃない…?」


そう思った瞬間、さっきのキスも気持ち悪く思えてくる。

感じた体温も、見つめた瞳も。
どれもこれも偽りで。

違う、違う。俺が欲しいのはッ…

「銀時?銀時?銀時、銀時―――――」

狂ったように名前を叫び始めた俺に戸惑う銀時。

あぁ夢なら覚めてください。

そう願って閉じた瞳からは一筋の涙が零れた。




「銀時」 
「呼んだ?」







江戸銀時の白夜叉の頃×万事屋晋助。
最後の返事は白晋の銀時。
色々おかしいけど許して下さい。




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