☆短編集〜銀切華〜
□wedding
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『はぁぁ?結婚!?』
静かな部屋に響く声。
いきなり想定外のことを言われて戸惑う俺を無視して銀時は言葉を繋ぐ
『俺達そろそろ同居し始めてから2年だろ?だからさ……』
スィと結婚届けが机の上に差し出される。
………。
重要な話があると言われ、何事かと思ったら……
流石にこれは想像出来なかった。
『なんで………今?』
銀時のことだから2年目だとかそういうことはきっと関係していなくて、何か別の訳があるのだろう。
『………親が……さ…』
しばらく黙って、言いにくそうにそう言った。
『親……?』
『「あんた晋ちゃんと2年も同居してるんでしょ?そろそろちゃんとした関係になってあげないと可哀相よ?」って言ってこの紙を渡してきた』
……なるほど、そういうことか。
俺と銀時は両方の親に公認されて付き合っている。
ちゃんと挨拶にも行った。
だからいつかは、なんて思ってはいたが……
本当に叶う機会が来るなんて思ってもいなかった。
『俺は別にどっちでもいいんだけどよ。お前は……どうなの?』
真剣な紅い瞳が俺を見つめる。
『俺は……』
どうしたいのか。
そんなことは考えるまでもなくて……
『俺は銀時と結婚したい。』
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『…っ………』
前にはタキシードを着た銀時。
目を見開いた状態で固まっている。
『銀時、めっちゃカッコイイ』
俺は……というと
ウェディングドレスに身を包んでいる。
後ろで引きずるほど長い何重もの純白レース。
綺麗に化粧が施され、ベールとティアラが頭を飾っている。
普段の俺からしたら絶対に有り得ない格好であり。
女の子なら誰もが憧れる格好でもある。
俺も憧れていなかったのかと聞かれると嘘になる。
唖然としていた銀時は、手を口元にあてながら後ろを向いてしまった。
『ちょ…俺は…そ、そんなに似合ってねぇのか!?』
その反応に少し傷ついて、焦ってそう尋ねる。
俺がそう尋ねるとクスリと笑って俺の方に振り返り
『んな訳ねぇーだろ?
可愛い過ぎて直視できなかったんだコノヤロー』
と。
今まで見てきた中で1番幸せそうに笑ってそう言った。
その言葉と表情が嬉しすぎて
『ありがとう……』
言葉が勝手に零れた。
その時の俺の顔もそれくらい幸せそうだったよと後から銀時に言われた。
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