死姫

□第五話
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「ぇ?まさか・・・・廉、ちゃん?廉ちゃんアルカ?」




「神楽・・・」




自分の目の前にいる少女が廉斉だと確信すると銀時をドつき、廉斉の元に走り寄った。




「廉ちゃん!!今まで・・・今までどこ行ってたアルカ!?私、わた、し・・・」



その後は言葉にならず、ひたすら神楽は廉斉にしがみついて泣き続けた。



「ウッ!・・ヒック、ヒク・・うう、ぐすッ、れ、れんちゃ・・。
れんちゃん!」




「うん・・ごめん。ごめんね、神楽」





「・・とりあえず、中入れよ」




二人の様子を見かねて、銀時が家の中に招き入れた。





ーーーーーーー



「落ち着いたか?」





「うん・・ありがとアル」




居間に入り、神楽は漸く泣きやみ、廉斉から離れた。





神楽が落ち着いたのを確認した廉斉はポツリと小さく口を開いた。




「神楽、その本当にごめんね」



「・・・なんでアルカ?なんであの日、いきなりいなくなったアルカ?」







「・・・今は言えない、かな」






「今はってことはいつかは言ってくれるの?」




「うん・・」





「なら良いアル!許すネ!」




精一杯の笑顔で言うと、廉斉はホッとしたのか僅かに微笑した。





「満足ですかィ、姫さん?」



「ええ。ああ、そうだついでに」




「「??」」



「その『姫さん』っていうの止めない?」



「そうは言っても、アンタは江戸に来日した賓客だ」



「でも、私は君たちのお姫さまじゃないし。君たちのお姫さまは別にいるでしょ」




廉斉の言葉に首を傾げる二人にむしろ廉斉は驚いた。



「え、まさか分かってなかったの?」





「?誰なんでさァ」




「・・・そよ姫だよ」



「「ああ!!」」



二人の反応にいち早く銀時が悪態をついた。




「えーもしかして、今まで忘れてたわけ?うわー最悪w」



「そよちゃんを忘れてたなんて、最低アル!」



「うっせえェ!!」


「うるせぇや」


二人に言い返すも銀時達はキレーにスルーし、廉斉の方を向いた。




「話の途中で悪りいけど、『姫さん』が嫌なら『廉』でいいか?」




「ええ、かまわないですよ。・・いえ、かまわないよ」





「私は今まで通り廉ちゃんで良いアルカ?」



「もちろん!」



廉斉が笑顔で答えると、神楽も満面の笑みを浮かべ、そろそろ帰るねと廉斉が言った言葉でお開きとなった。




その帰り道




「で、姫さんの事はなんて呼べば良いんですかィ?」




「ん?君たちが適当に呼んでくれたので良いよ。もちろん『姫さん』以外でね」



「って言ってもな・・・・・」




土方が、渋い顔をするも沖田は何やらうーんと考えており、ひらめいたのか、ポンッと手を叩いた。



「じゃあ、『お嬢』は?」


「ん、それなら良いかな。じゃあ、これからはそう呼んでね沖田くん。あっ土方くんも」


「へい、了解しやした」


「・・了解しました」



「敬語も、止めなさい!」



「そ、それはちょっと・・」


「はぁ?(黒笑)」



「い、いえそう呼ばせて頂きます・・・」




そんなこんなしながら三人は屯所へ戻っていった。
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