死姫

□第一話
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「久旺様はどちらのご出身なのですか?」
城へ向かう途中、近藤が口を開いた。廉斉は一瞬目を見張ったがすぐにもとの表情に戻し、近藤の問いに答えた。
「なぜそんなことを聞くのですか?」
「いえとくに他意はないのですが、久旺様があまりにお美しいので、皆そのような方たちなのかと思いまして」
廉斉は一瞬迷ったが、答えることにした。
「私は、宇宙の辺境の星、天明星の出身です」
廉斉の答えに近藤は頭に?マークが浮かんだ。そして今までの会話を聞いていた土方が助け舟を出した。
「それはまたえらく遠いとこから来られたんですね」
そう土方が答えると、廉斉は驚いた。まさか知っているとは思わなかった。
近藤は土方の方を向いてサンキュ!と小声で言っていた。
「あら私の故郷を知っている方がまだいたなんておどろきです。・・・・・・・ならば、私が何族かわかりますか?」
廉斉の問いに土方は頭の中の知識をフル回転させた。あの辺境に住まう部族は、そんなに多くはない。そして廉斉の容姿。土方は自分が出した結論に戸惑いながらも答えた。
「・・・・・天孤族ですか?」
そういうと廉斉はおろかあとの4人までもが驚愕の表情をあらわにした。
「・・・正解です。・・・よく分かりましたね。」
土方も驚きが隠せなかった。なぜなら、
「天孤族は滅んだと聞きましたが・・・」
「いいえ、まだ滅んでおりません。実際に私がそうですし。・・・まぁでもほとんど滅んでしまいましたが」
そういうとこの話はこれで終わりというしぐさをした。
その後、たわいもない話を3人は続けた。
そうこうしている間に城へついた。


〜江戸城〜
「おお〜お前らゴクローサン。廉斉姫の護衛サンキュー」
江戸城では、松平片栗粉が待っていた。廉斉を送った二人は怪訝な顔をした。
「は?久旺様がなんだって?」
「だからお姫様なんだって。ちなみに第三王女らしいよ」
松平の話を聞いた二人は驚いた。まさか今まで話していた少女がどっかのお偉いさんの娘かと思ったらまさか王族だったとは。
二人はあわてて謝罪した。
「「そんなことに気付かず、ご無礼をして申し訳ありません。」」
二人の謝罪を聞いていた廉斉は
「いいえ。私も言ってませんでしたから」
そう言ってこの場が和んできたころ、松平が近藤に相談をもちかけた。
「ところで近藤。お前ら真選組にちと相談がある。」
「相談?いったいなんなんだとっつぁん?」
「あぁ、あのお姫さんの姉の方と俺が知り合い同士でな。そいつからちょっと訳ありなんだがしばらく預かってくれとたのまれてな。だが、うちでは無理だ
だから、お前らんトコに置かせてやってくれねぇか?」
近藤は松平のたのみと聞き、しばらく考えていたが、すぐに顔をあげて、
「分かった。廉斉姫は俺達が責任もって預からせていただこう」
松平は返事を聞くと、
「おう、ありがとな。じゃよろしくな。あっ、そよ様の相手というのは表面状だ。まあ、ちゃんとお相手もしてもらうけどな。」
そこまで聞くと近藤は、土方と沖田を呼び、今までのことを話した。
すると土方が松平に問うた。
「そういや、天導集はどうするんだ?」
土方の問いに松平は
「あぁ大丈夫、大丈夫。廉斉姫は大物だからな。存在は知っていたと思うしそれに名が知れ渡ってると思うしよ」
と答えた。その答えに少々不満を覚えながらも、土方は渋々分かったと答えた。
そんなわけで、廉斉は真選組に身を寄せることになった。
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