ちょうへん

□何度でも
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※多少性描写が入ります。苦手な方はお戻り下さい。




−−ありがとう。俺に恋を教えてくれて。




「ゆっ…雪名!?」

「ショウタさん、そのまま俺の話を聞いて下さい。」

雪名がいつになく真剣な声色だったから、俺は黙っているしか無かった。

「俺がショウタさんを好きな事に変わりはありません。…それに、ショウタさんが人間では無いことも薄々気付いていました」

「え!?な、んで……」

あんなに必死に隠していたはずなのに。


「初めてショウタさんを見たときは高校生だと思ってました。それで、いつも視線を感じていたので"かわいい高校生"に好かれちゃったのかなぁ、と。実は、俺もショウタさんを見ていたんです。…今思えば一目惚れだったのかもしれません。」

「お、俺に!?」

余りの衝撃に声が裏返ってしまった。それでも雪名は次々に言葉を並べていく。

「はい。そのうちに見ているだけじゃ物足りなくなってきて。話をしたらしたで、次は触れてみたくなってしまいました。だからショウタさんも俺の事を好きだと言ってくれて嬉しいです。…それにさっきの話を聞いてもっと好きになりました。俺は前世でもショウタさんに恋をしていたんだなぁと。ショウタさんも俺の事が好きだったようですし。…これはもう、運命としか思えません。」

「ばっ!お前とは一言も言ってねーぞ!!」

俺が雪名の腕から抜け出そうと暴れだすと雪名は一層強く俺を抱きしめて言った。
"俺はショウタさんとずっと一緒に居たいんです。"




俺もずっと一緒に居たかったよ。…でもなんで俺の前から消えちゃったんだよ。…俺が、今までどんな想いで生きてきたか……


「俺はお前と契約なんかしねーからな!!」

「……契約?」

(何言ってんだよ俺!)

「う、うそ!今のなしっ!」


「ショウタさん、教えてくれますよね?」

そこには、いつもよりどす黒いオーラの雪名がいた。


「い、言うからっ…!俺と契約するには雪名の血か精液が必要なの!分かったかっ。でも俺は契約なんてしないからなっ!」

(巻き込みたくない…雪名を、俺と同じふうにしたくないんだ。気の遠くなるような時間を過ごしてきた自分には分かる。いつか絶対後悔する時がくる。死にたい、と思う日がくるはずだと。)

「これは運命です。人は運命に逆らうことはできません。ショウタさん、俺を貴方のパートナーにしてください。俺、ショウタさんとならずっと生きる覚悟は出来ています」


−"運命"

恐らく雪名は"ユキナ"の生まれ変わりだろう。だって何から何まで似過ぎている。仕種だとか、性格だとか…顔とか。

ユキナはまた俺に会いに来てくれた。
だったら俺に拒否する事は出来ない。雪名の言う通り、これは運命だ。
運命には逆らえない。

−雪名に幸せになって欲しかった。
でも今は違う。雪名"と"一緒に幸せになりたい。



「……後悔しても知らないからなっ!」

俺が顔を真っ赤にしながら言うと雪名は今までで一番甘い笑顔で笑った。


*


「んぅ……あぁ…っ!」

「ショウタさん……」


俺は幸せ者だ。好きな人と二度も巡り会えたのだから。

身体が熱い。雪名に触れられた所が全て、溶けてしまいそうだ。


「ゆ、きな…俺、雪名がすき。雪名の全部が欲しい…血も、精液も…全部、俺にちょうだい…」

雪名の首筋に歯を突き立てる。ぷつん、歯が皮膚を突き破り体内に入る。

瞬間、雪名が顔を歪めた。
でも俺はそんな事気にする余裕が無かった。ゴクゴクと血を飲む。

(甘い……)

雪名の血は今まで飲んだどんな血よりも甘かった。
これが恋の力と言うやつなのだろうか。

お互いの血を飲まなければ契約は成立しない。俺は自分の下唇を噛んだ。とたんに、口中に鉄の味が広がる。やはり、自分の血は美味しくない。


「雪名……キス、して」

深い、濃厚な口づけを交わす。
頭がぼーっとする。ふわふわと気持ちが良い。雪名のキスは気持ちいい。

「ショウタさんの血、甘いです…」
「っ!!」

雪名が俺と同じ事を考えていた。たったそれだけのことなのにこんなにも胸の奥が温かくなるのは何故だろう。


「ショウタさん、好き。」

「…俺も。」

…俺も、雪名が好きだよ。


雪名が俺の腰を持ち上げる。
とたんに繋がりが深くなった。


「ぃ…っ!あ、あ……んぁっ…」

「ショウタさん…気持ちいいですか?」

「んっ…あ!きもち、い……。こ、んな、にきもちいの初めて…」


雪名のが俺のいい所に当たる。

「あぁ!……ふぁ…ぁ、…」

その瞬間、俺は達した。身体の奥に熱いものを感じながら…




*


(俺、雪名と契約しちゃったんだ…)

「あ、ショウタさん。目が覚めましたか。身体、平気ですか?」

雪名がマグカップ片手に俺のもとに近づいてきた。

「う、うん…」


「ショウタさん。俺、ずっと気になってた事聞いてもいいですか?」
…何故だろう。嫌な予感しかしないのは。


「な…なに?」

「ショウタさんってー、実年齢何歳なんスかー?あとショウタさんてバンパイアなんですか?」


…予感的中。


「歳は秘密っ!あと俺はバンパイアと淫魔のハーフ!」

「だからショウタさんあんなにエロかったんスね!!」

そうだったのか、と雪名は一人納得している。

「…エロくて悪かったな!」

「そんなことないです。えっちなショウタさんも好きですから。」

雪名がムカつく。…今だけはその顔が憎たらしい。


「なっ!!ゆっ…………ゆきなの、バカ−−−−!!!」




−俺は生きていても意味が無いと思った。そんな俺に生きる意味を教えてくれたお前。

−生まれ変わってでも、

−またね、と言ってサヨナラしたけど。まさかまたお前と出会うなんて思ってもみなかった。

−貴方に会いに行きます。

−ずっと会いたかった。

−もう一度、貴方と恋をする為に。

−ありがとう。俺に恋を教えてくれて。









昔々のお話です。
愛し合う二人の男が居ました。
一人は永遠に死なない不老不死の身体をもっていました。しかしもう一人はやがて死んでしまいます。
一人ぼっちになってしまう男に人間の男は言いました。
"また生まれ変わって貴方に会いに行きます"と。
男はそれを信じ、ひたすら待ち続けました。ですがいくら待っても約束は守られません。男は泣いて泣いて、泣きました。
そんな時に現れた人間の男がいました。その男はかつて自分が愛した男の生まれ変わりだったのです。やがて二人は再び恋に落ち、永遠に幸せに暮らしました。


Do you still love me?
Yes.I love you.

(貴方が俺のすべてです。)







−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ここまでご覧頂きありがとうございました。ゆきさ編、これにて完結です。

またしても繋げてみました。
今回は雪名の言葉もあります。
わかりやすい、ですよね?


宜しければ感想をお願いします。私の生きる源となります(笑)

それではありがとうございました〜!


3/21完結



 

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