ちょうへん
□二度目の恋
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−−またね、と言ってサヨナラしたけど。まさかまた、お前と出会うなんて思っても見なかった。
今日も俺はその足でブックスまりもへと向かう。
お目当てはキラキラ輝く王子様。
前までは見ているだけだったけれど、昔一度寝た男に絡まれている所を助けて貰ってから話すようになった。
(っても、俺はまともに話せたこと無いんだけど。)
あいつとは、話すだけでも心臓が破裂しそうな程ドキドキする。
そいつの名は、雪名皇。
持ち前の話術とルックスでブックスまりも一の人気店員だ。
そんな王子様と俺が知り合いだなんてちゃんちゃら可笑しい話なわけで。
「あ!ショウタさーん!」
雪名が俺に気づきパタパタと走り寄ってくる。
正直止めて欲しい。…恥ずかし過ぎる。
「お、おう。どうしたの…?」
若干吃りながら話に応じる。
「ショウタさん、この後暇ですか?俺、もうちょっとでバイト終わるんですけど…」
にっこりと雪名が微笑む。あぁ、バックに星と花が見えるぜ……
「へ!?ぁ…うん、まぁ……」
「良かった。じゃあ、何処かでお茶しませんか?俺、前からショウタさんとじっくり話して見たかったんスよー。あ、お客さん来たみたいですね…じゃあまた後で」
そう言って雪名は接客に戻ってしまった。
何故俺なんかを誘うのだろう。俺と居てもつまらないだけなのに。
……って、なんか自分で言っておいてヘコむ…
*
「ショウタさんは何歳なんですかー?」
今俺と雪名はお気に入りのカフェに居る。
雪名に歳を聞かれた。
しかし、自分はもう何百年も生きているわけだから、なんて言って良いのか分からない。
(正直に言っても引かれるのがオチだしな…)
「…雪名には何歳に見える?」
「うーん…俺と同じくらいですかね?」
「…じゃあそういうことにしといて」
それからは雪名と色々な話をした。雪名の地元の札幌の話、大学の友達の話。
時間はあっという間に過ぎて。
突然、雪名が言った。
「ショウタさん、もう夜も遅いですし…俺の家来ませんか?」
雪名は"ユキナ"と余りにも似ていて。
雪名と居るとドキドキが止まらない。顔が赤くなる。……そして何より、安心できる。
もう二度と恋なんてしないと思ってた。
でもやっぱりこれは恋なのだ。
俺は今日、二度目の恋をした。
貴方に会いに行きます。