ちょうへん
□一目惚れ
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−−俺は生きていても意味が無いと思った。そんな俺に生きる意味を教えてくれたお前。
オトウサマ、オカアサマ(そんなのいねーけど)俺は、王子様に恋をしてしまいました。
−これは、律っちゃんと高野さんが出会うちょっと前のお話。
「ショウター!偶然だな。…今夜どう?」
俺が夜の街を歩けばいくらでも男が寄ってくる。
(偶然じゃないだろ…ずっと後つけてたくせに。)
だから今夜もふらふらあてもなく歩いていた。
声をかけられた男についていく、
「うん…いいよ。」
そんな日々がもうずっと続いていた。
俺はバンパイアと淫魔のハーフだ。だから両方の性質を持っている。そのことで気味悪がられた時もあった。
でも……その時に一人だけ、俺を認めてくれたやつがいた。
−もう何百年も前のこと。
そいつは"ユキナ"と名乗った。
そいつは変わった奴で、人間のくせに毎日俺の元にやって来ては、たわいもない話をして帰って行った。
そんな日々が何年も続いた。そして何時しか、俺はそいつに恋をした。
「ショウタさん!今日は今、都で流行りのお菓子を持ってきました!一緒に食べましょ?」
「……うん。食べる」
ユキナはとにかくキラキラしていて、とにかくかっこよかった。
俺はどんどんユキナの事を知りたくなった。
「ユキナって何の仕事してんの?」
「…うーん…そうですねぇ。俺、貴族なんで……あ!でも、都の平和を守るのが仕事です!」
「何カッコつけてんだよ」
「だって好きな人の前ではカッコつけたいのが男ってもんでしょ?」
「バカか、お前」
ユキナとずっと一緒に居たかった。ずっと一緒に居るものだと思っていた。
だが、ある日突然ユキナが流行り病で倒れたという知らせが入った。俺は急いでユキナのもとに駆け付けた。
「ユキナッ!!」
「…………ショウタ、さん……」
ユキナに死んで欲しく無かった。"俺と契約しよう"その言葉が喉の奥から出てきそうだった。
(ユキナを苦しめちゃいけない……)
「ユキナ!死なないで……ユキナが死んだら……俺…」
「泣かないでください…ショウタさん、俺は生まれ変わってもまた、ショウタさんに会いに行きます。絶対に。」
−次の日、ユキナはこの世を去った。
俺は思った。
もう恋なんかしない、と。
人間なんてすぐ死んでしまう。
生まれ変わるなんて有り得ない。
もう二度とユキナとは会えない。
別れる辛さを味わいたくなければ、誰とも出会わなければいい。
−だからたまたま立ち寄った本屋であいつそっくりの奴がいた時はびっくりしたんだ。
あぁ、俺はまた、恋をしてしまった。
生まれ変わってでも、