Fate/Zero・stay night

□そこだけは譲れない ディルムッド
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今日はセイバーと出掛けることになっている
同性でありながら、紳士の様な振る舞いの彼女と出掛けることに、ウキウキ感とドキドキ感と相反する感情の名前

そしてめい一杯おしゃれをすると漸く、朝餉を取るべく自室から出た

「おはよー、ディルムッド」

「おはようございます、主
今日は一段と可愛いらしい格好をしていらっしゃいますね」

歯の浮く様なディルムッドの言葉にも今では慣れてしまった

いやぁ…慣れって凄いね

「うん、今日はデートなんだ!」

「……えっ…?」

ディルムッドは名前の言葉に固まると、その手に持っていたお玉を落としてしまった

「…ディルムッド?」

固まって反応のないディルムッドの顔を覗き込む名前

「…あ、主!!」

「は、はい!?」

突然ディルムッドに肩を掴まれた名前は、その勢いで返事をしてしまった

「デートとは…その…どなたと?」

あまりに真剣な眼差しだったため何を言われるかと身構えていたが杞憂だったようだ

「えっ…?えっと……」

ついディルムッドの威圧感に圧倒され言葉の出ない名前

「主にまさかその様な方がいらっしゃったとは…」

ディルムッドは落胆の色を見せながら、悔しそうに言った

「ちょっ…ディルムッド?」

ディルムッドは一人の世界に入ってしまい、名前の声も届いていなかった

「…主!!その様な格好で行ってはいけません!
せめてもう少し丈の長いスカートを着用していただきたく…「ちょっとストーップ!!!!」

このまま誤解されたままでは埒が空かないので、名前は大声を上げることを余儀なくされた

「私が今日デートに行く相手はセイバーであって彼氏じゃないし…まずそんな人いません!」

あれ、これって胸張って言うことかな?
ちょっと悲しくなってきた…

「……ほ…本当ですか!?主!!」

安堵と歓喜を合わせた様な顔で名前に詰め寄るディルムッド

「本当だってば!!
セイバーとは前から約束してて、女の子同士遊びに行こうって言ってたの!」

「そうでしたか…すみません…俺の早とちりで…」

申し訳なさを表す様に頭を下げるディルムッドだったが、その顔は名前の目にはどこか嬉しそうに見えた

「まぁ、わかってもらえて良かったよ
お腹減っちゃったから、ごはんにしよっか!」

「はい、では先に座っていてください」

「はーい」

名前は誤解も解けて上機嫌にテーブルへと歩みを進めた

「主…!」

ディルムッドが呼び止めると、既に踵を返していた名前は振り返った

「やはり、そのスカートの丈は些か短すぎるので…変えていただけないでしょうか?」

「…………え…?」


そこだけは譲れない

(えっ…似合わないかな…?)
(そうではなくて…!!(主の愛らしい姿を他の男に見せたくないのだが…))
 

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