黒子のバスケ

□回答を誤った日 氷室辰也
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『氷室先輩…いい加減、離してくれませんか?』


「ん?なんでかな?」


いやいや…何でって……。

いまどき、現在進行形で私が氷室先輩の膝の上で座ってるこの状況は、どう見たっておかしいと思うんですけどねぇ…。

あー、早くチャイム鳴れー。


昼休みに珍しく氷室先輩にお昼に誘われたかと思ったら、まさかのこんなことになってしまった。

たまには屋上で食べようか。なんて流れだったとは言え、屋上で良かった。いや屋上が良かった!ありがとう!!


私の手を引いていた氷室先輩に、促されるがままに導かれた先が彼の膝の上だった。


うぅ…絶対重いよ、こんちくせう!


私はできる限り体重をかけないようにと必死なのに、一方の氷室先輩なんて「もっと寄りかかっていいのに。」と言いつつ、ちゃっかり私の体を引き寄せるもんだから、気が気じゃない!



別に私と氷室先輩は付き合ってる訳ではない。
なのにこんなことしてていいのか…と考えて、先輩に彼女がいてバレたら私は生きて帰れないかもしれない。
いや、土には還れるな、うん。
…………う、上手いこと言えたなんて思ってないんだからねッ!

あ、いかんいかん!
この現状のせいで頭がおかしくなったみたいだ。
よし、平常心平常心……



『ひ、氷室先輩…?』


「何?」


『先輩、彼女いるんですか?』


「…えっ……。」


『あ、やっぱりいるんですね。
じゃあ勘違いされる前に離れましょう、そうしましょう。』


私は一瞬力の抜けた氷室先輩の隙を突いて、その腕の中から逃げ出そうとしたけど、一瞬はあくまでも一瞬の話。

私が離れるより先に、氷室先輩の腕に再び力が篭ったために、半分まで浮いていた腰が元の位置に強制送還。

あっ!!思いっきり座っちゃったよ!!
……泣きたくなった…。
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