氷菓(原作沿い)
□6.文集探しの旅
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テスト休み明け久々の部活だったが、所用で少し遅れてしまった。
バンド部や軽音部の音出しがどこからか聞こえてくる。
…思ったけど、バンド部と軽音部って一緒じゃないの?
もう合併しちゃおうよ。
…なんて、どうでもいいことを考えているうちに、やっと四階に辿り着いた。
相変わらず遠いなぁ…。
階段を上りきった廊下の先の地学講義室を視界に捉えた。
足を数歩進めた所で、目的地である地学講義室の扉が開いた。
『あれ、みんな…』
タイミングよく折木君とえるちゃん、摩耶花ちゃんに遭遇した。
「おう、苗字か。
ちょうど良かった。これから生物講義室に行くぞ。」
『生物講義室…?』
『へえ、古典部の前の部室って生物講義室だったんだ。』
荷物を一旦地学講義室に置いてから、みんなと生物講義室に向かうことにした。
その道中、ことの発端を折木君から聞いていた。
なんでも、折木君のお姉さんからの手紙によると、薬品金庫の中に文集があることはわかったけど、肝心の薬品金庫がなかったらしい。
「この二年、部員がいなかったからな。
教室をたらい回しにされたんだろう。」
部員の少ない部活は、やはり扱いが粗雑みたいだ。
『それにしても、折木君のお姉さんは不思議な人だね。
まるで折木君のことをいつも見てるみたい。
こんなにタイミングよく手紙を送るなんて…。』
そう言うと、折木君はブルッ…と身震いをした。
「…まさかな。」