氷菓(原作沿い)

□5.謎解きスタート
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図書室に戻ると、福部君が待ちくたびれた様子だった。


「どうだった?」


「ふくちゃん、折木って、ちょっとヘン。」


「変だよ。知らなかったの、摩耶花。」


「あんなの、どうしてわかるんだろ……」


それは私も同感だった。
あれだけの情報から、あんな答えを導き出せるなんて…。


「本当に折木さんには驚かされます。
折木さんの頭の中には、私も興味あります!」


ついえるちゃんがメスを片手に、折木君の頭を開こうとする姿が…

そこまで考えてからフルフルと頭を振って、その想像を吹き飛ばした。


「折木さんなら、もしかしたら…。」


独り言なのか、小さく呟いたえるちゃんの言葉が耳に届いた。


折木君なら、何なんだろう…?


「さ、じゃあ説明してもらおうか、ホータロー。」


そこまで考えた所で、福部君の言葉で話が戻った。


真相を知らない福部君のために、謎解きが始まった。


「まず、どこに行ったんだい?」


「美術準備室だ。」


「美術準備室。
校舎の反対側じゃないか。」


「だから行きたくなかったんだ。」


「そこに何が。」


「まあ聞けよ。」


折木君は私たちにしてくれた説明を、もう一度繰り返した。


「その本を使うとすれば、それは金曜五時限目か六時限目、あるいはその両方に跨がってだ。

休み時間にあんなでかいものを使う女子なんかまずはいない。

読むやつなんか尚更だ。

そして、学年が同じでクラスが別の生徒が関係する授業といえば…」


折木君はそこで一息いれた。


「体育か、芸術科目だ。
いくらなんでも体育で本は使わない。
見てみろよ、その本の表紙を。
苗字さんが着目していたからな…。
なかなか凝っているし、いい色合いだと思わないか?」


折木君の目が合ったけど、何だか気恥ずかしくなって曖昧に笑ってしまった。
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